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これまでの活動

福岡いのちの電話「自殺予防公開講座」を開催しました

3月6日、福岡市のレソラNTT夢天神ホールで社会福祉法人福岡いのちの電話と共催で自殺予防公開講座を開催しました。

北九州市でホームレス支援に携わる認定NPO「抱樸(ほうぼく)」の理事長で、牧師でもある奥田知志(おくだ・ともし)さんを講師に迎え、「私たちは何を大切にしてきたか~コロナの時代を生きる~」と題してお話をしてもらい、聴講者150名余りが聞き入りました。

講師は牧師でもある奥田知志さん

奥田氏は、ホームレスの支援をしながら考えたこととして「家が無くて経済的に困窮している人はハウスレス。住む場所ができたからといって社会的な孤立は解決しない。誰ともつながっていなくて孤立している人は、家があってもホームレス」、「路上にいる人たちに要望を聞くと、まず『畳の上で死にたい』と言われる。住まいを用意してあげると、次には『誰が看取ってくれるのか』と言われる」と孤立の深刻さを話しました。

また、コロナ禍の中で「不要不急の外出を控える」とさかんに言われたことを取り上げ、「会社、仕事、学校は命よりも大事だったのか?とみんな考えた。無くてはならぬものは、多くはない。いやひとつだけ。それが命」と話しました。

孤立の深刻さ、命の大切さについて話す奥田さん

そして、神奈川県の障害者施設「津久井やまゆり園」で45人を殺傷した元職員の植松死刑囚が「障害者は生きる意味がない」と述べていたこと、杉田水脈衆議院議員の「LGBTは生産性がない」と発言していたことなどを取り上げ、「すべての人が生産性圧力のもとで生きている」と分析。2018年には植松被告に面会に行った際に、植松被告自身が「僕はあまり役に立ちませんでした」と述べたことを紹介し、「誰もが、役に立つ人間と認めてもらいたいというプレッシャーを感じている」と話しました。講演の後半では、「生きる意味とは何ですか」と問いかけ、「『自立』も『生産性』も、生きていてこそ。生きること、そのものに意味がある」と述べました。

2020年は、「自殺者が11年ぶりに増加に転じた」という厚生労働省の発表(速報値)がありました。そうした中で、女性の自殺者の増加、小中高生などの若い世代の自殺者の増加といったたいへん悲しい傾向が見られます。一人でも多くの貴重な命を救えるように、この講座がその一助となれば、と願っております。