~支え合う安心社会の実現に向けて~
朝日新聞厚生文化事業団は「福祉を支える地域づくり」「福祉を担う人づくり」「支援の輪づくり」を軸に社会福祉事業に取り組んでいます。

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事業のご報告

精神疾患をもつ親に育てられた子どもの立場の「つどい」
~「第1回Zoomつどい」を開催しました(2020年7月19日)

朝日新聞厚生文化事業団では、精神障害のある人やその子どもたちが安心して暮らせる地域社会を目指し、2018年1月に発足した、精神疾患の親をもつ子どもの会「こどもぴあ」とともに活動をしています。

精神疾患のある親をもつ子どもの立場

うつ病や統合失調症などの精神疾患は、誰にでも起こる可能性がある身近な病気です。そして精神疾患のある人が子どもを持つことも、あたりまえのことです。

しかし、社会に十分な環境が整っていないため、精神疾患のある親を持つ子どもたちが困難を抱えることも少なくありません。例えば、幼少期に十分な養育が受けられなかったり、小さい頃から介護者として家事などを担いながら育ち、他の家庭の子どもが経験していることをあきらめたりしている場合もあります。また、親が病気だと知らずに育つケース、親自身にも病識がなく、未治療のまま何の支援にもつながらず孤立している家庭もあります。

全国に精神障害のある人の家族会はありますが、そのほとんどが障害のある子どもをもった親の立場の人の参加となっています。子ども同士が出会い、自分の家庭の話を打ち明けることができる場はほとんどありませんでした。そのため孤独な気持ちで生きている人が多いのが現状です。

精神疾患の親をもつ子どもの会「こどもぴあ」との共同事業

精神疾患の親に育てられた人たちが、お互いの経験を語ることで支えあおうと18年1月に「精神疾患の親をもつ子どもの会「こどもぴあ」」を発足させました。埼玉県立大学の横山惠子教授(精神看護学)らが支援して15年から開く、子どもの立場向けの家族学習会などで出会い、交流を続けてきたメンバーによるものです。

子どもの立場の人が出会える場・集える場をつくり、今現在困難な状況にある子どもたちがSOSを発するきっかけをつくっていけるよう、当事業団は、2018年度に、「こどもぴあ」との活動を開始しました。

「こどもぴあ」の運営会議をともに開催するなど、会の立ち上げ時期を応援させていただきながら、「こどもぴあ」が活動の柱である子どもの立場の「つどい」と「家族学習会」を共同主催し、開催のサポートをしています。

また、「こどもぴあ大阪」でも、「つどい」や「学習会」が行われているほか、札幌や福岡、沖縄などでも、新たに「こどもぴあ」が立ち上がり、活動を始めています。子どもの立場の当事者活動を全国に広げ、精神障害のある人、その子どもが適切な支援を受けながら、親子一緒に健全な家庭を築いていけるよう環境を整えていくことを目指し、当事業団では全国の活動を応援していきます。

第1回Zoomつどい開催(7月19日(日))

新型コロナウィルスの感染拡大の状況を鑑み、開催を見送っていた、こどもの立場の「つどい」を7月19日(日)に、こどもぴあ運営のもと、初めて、オンラインで開催しました。

当日は、全国各地から10人程が参加し、3つのグループに分かれ、こどもぴあメンバーが進行をしながら、これまでの体験や思いを話していきました。当事業団は、共同主催として、当日はオブザーバー参加。ご参加の皆さまの同意をいただき、お話をそばで聞かせていただきました。

つどいを運営した「こどもぴあ」のメンバー(終了後)

このサイトに、随時、開催の報告を掲載していきます。

第1回Zoomつどいの報告は、こどもぴあ代表の坂本拓さんに、文章をお寄せいただきました。

こどもぴあ オンラインつどいの開催報告

このコロナウィルスの影響を受け、我々こどもぴあは当初予定していた「つどい」を中止せざるを得ませんでした。こどもぴあは「安心・安全な場」を第一に活動してきた経緯もあり、今年度の上半期は活動を自粛しようと決めていましたが、「オンラインで語り合える機会を作ってほしい」と数名の方にご連絡を頂きました。

全国的に見ればオンラインでの会合が増え、ひとつのやり方として確立してきていたものの、「つどい」をオンラインで実施できるのかどうか、我々にとっては未知の領域でした。一方で「オンラインつどい」を求める声は増え、需要があることも分かっていたので、仲間と共に検討に検討を重ね、やっとの思いで7月19日に「オンラインつどい」を実施することとなりました。

募集人数を10名と控えめに設定し、数週間前の突然の募集だったにも関わらず、一週間も経たずに定員に達しました。当日は、慣れない画面越しでの顔合わせ...こどもぴあに初めて参加される方はそれだけでも不安や緊張いっぱいのはずなのに、さらにオンラインでは...と心配していましたが、そんな環境にも関わらず、参加者やこどもぴあメンバーには笑顔が見られたのです。まだ語り合った訳でもないのに『子どもの立場』という共通点だけで生まれる安心感や喜びが"集まれたこと"だけであったのかも知れません。

簡単な自己紹介とつどいのルールの確認をし、小グループに分かれて約1時間半の語り合いを行いました。親御さんの病名は、統合失調症・気分障害・依存症・発達障害・未受診未診断など様々でしたが、共感した時に使う「わかるぅ~札」の出番が多く、共感し合える"いつもの場"が出来ていた様に思います。

共感した時に使う「わかるぅ~札」

今回、オンライン開催ということもあり、青森から九州まで全国から参加者が集いました。「こどもぴあは知っていたけれど、東京にいくのが難しかった」「一日留守にすることが難しいので、オンラインだと助かります」という感想も頂き、色々な形で集まれる場を開催していく必要性を感じました。

「安心・安全な場」とはどのように作れるのでしょうか。立場を限定したクローズな場なのか、互いに尊重し合うことを約束した場なのか、実際に顔を合わせて表情を見ながら語り合う場なのか、団体としての認知が必要なのか。「安心・安全な場」は分かりやすいようで抽象的な表現だと思います。運営側と参加者側ですれ違ってしまうことがあるかも知れません。

ただ、我々こどもぴあの強みは「子どもの立場が運営している」ということだと思っています。同じ立場の仲間だからこそ、運営側である我々の感覚を大事に企画を進め、参加者を迎え入れることが、我々の出来る事であり長所でもあるのです。今回のオンラインつどいを経験したことで、我々が良いと思える「語り合いの場」が作れることが分かり、自信に繋がりました。

こどもぴあは、朝日新聞厚生文化事業団さんをはじめ、色々な支援者に支えてもらい活動を続けています。これからも自分たちの感覚を大切に、色々な方に支えてもらいながら、全国の子どもの立場が集まれる場を開催していきたいと思っています。

精神疾患の親をもつ子どもの会 こどもぴあ
坂本 拓

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