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事業のご報告

高齢期の豊かなくらしセミナー
「あなたは大丈夫?!フレイル予防」事業報告

我が国の平均寿命は、2017年度の厚生労働省の統計では、男性が81.09歳、女性が87.26歳で、年々、その寿命は延びています。高齢になることで、筋力や精神面が衰えるフレイルは、すべての人に起こりうるものです。この予防を健康な時期から取り組むことで、健康寿命を延ばすためにはどうすればよいのかを考える講演会「あなたは大丈夫?!フレイル予防」を9月16日午後1時から3時半まで、大阪市西区の大阪YMCA会館ホールで開催しました。参加者は150人。

まず国の施策に詳しい白澤政和・桜美林大学大学院老年学研究科教授は、基調講演「フレイル予防と地域包括ケア」で、①フレイル予防とは②地域包括ケアとは③フレイル予防と地域包括ケアの関係とは、について述べました。

フレイルとは、Frailtyの日本語訳で、「弱い」という意味。フレイルを決める評価基準として、①体重減少②倦怠感③活動量④握力⑤通常歩行速度の5項目をあげます。次にフレイルが生じる要因は、骨格筋を中心とした「身体」の虚弱だけでなく、「こころ/認知」や「社会性」の虚弱にもよるそうです。また、予防としては適切な運動療法で筋力を維持することが大切で、その運動療法は栄養療法とセットで行われなければならないとのこと。また糖尿病や高血圧、心臓病など慢性疾患がある場合は、持病のコントロールが必要と語り、日頃から適度な運動やバランスのよい食事をとるなど、感染症に強い体づくりを心がけることが大切。またインフルエンザワクチンなどの接種もフレイルの予防に効果があると述べました。次にフレイル予防と地域包括ケアの関係については、地域包括ケアでは高齢者の自助と生活支援が求められ、フレイル予防と生活支援の担い手が一体的となって、高齢者の栄養面、身体活動面の向上、社会参加を促進していくことが大切と結びました。

次に、新野弘美・帝塚山学院大学人間科学部食物栄養学科専任講師が、フレイル予防運動で、手足を使った簡単な運動を紹介、入場者も二人一組で行い、会場も和気あいあいとなごやかな雰囲気に包まれました。

休憩をはさみ、白澤政和さんのコーディネーターで、山口宰・光朔会オリンピア常務理事で神戸国際大学経済学部准教授、三宅基子・京都学園大学健康医療学部健康スポーツ学科准教授、重信直人・大阪YMCA職員で、日本介護予防指導者協会事務局長によるシンポジウムを開催しました。まず山口さんが、認知症の予防から軽度認知障害(MCI)に触れ、「同じことを言ったりする」「昨日の夕飯が思い出せない」など10のチェックリストをあげ、適度な運動や睡眠などライフスタイルを改善することが大切と語り、三宅さんは、「もう年だからとあきらめず、アクティブに生きる」ことを力説、重信さんは、「社会とのつながりを失うことがフレイルの最初の入り口、人生最後の10年間をあなたはどう生きるのか」と会場の聴講者に問いかけました。会場からの質問では、「フレイル予防を国としてはどのように取り組んでいくのか」という問いに、白澤さんは、「フレイルという言葉が出たのはここ数年、心理的、社会的研究はまだ遅れ、国としても財源も含め、まだこれから」と説明。また認知症のフレイル予防についても、山口さんが認知症の病状と症状がまだ十分解明されておらず、対策も取れていないのが現状と述べました。

フレイル予防については、今後高齢者が増え続けるなかで、早急な国の対応が求められる一方、私たち一人ひとりがフレイルについて関心をもち、自身のライフスタイルを見直すことの大切さを痛感しました。

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