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事業のご報告

高齢期の豊かなくらしセミナー 認知症と向き合う~あなたが、家族が認知症になったら~

2025年には高齢者の5人に1人は認知症になると言われていますが、認知症の予備軍と言われる「軽度認知障害」(MCI=Mild Cognitive Impairment)や認知症の初期症状などの理解と、ケアをする家族の気持ちなどについて、5月26日、朝日新聞社アサコムホールで、松本診療所(ものわすれクリニック)院長の精神科医松本一生さんにお話しいただきました。参加者は160人。

松本さんは、まず、右手を差し出し、認知症のレベルを右手の指にたとえ、親指を「健忘」、人差し指を「軽度認知障害」、中指を「軽度認知症」、薬指を「中等度認知症」、小指を「重度認知症」とし、親指は年相応の正常な物忘れ、中等度は接すると少し認知症がわかる程度、重度になると味覚が効かなくなったり、足腰が弱ってくることもあると説明しました。以前、松本さんは歯科医だった経験から、口腔ケアが誤えんを防ぐことを知ったとのこと。記憶や判断・理解力、時間・空間の認知症の中核症状を縦軸に、不安や勘違い、攻撃性など行動や心理症状の周辺症状(BPSD)を横軸に置き、今、どの辺りにいるのかを見分けることも示してくれました。

また、本人や身近にいる家族がどのように認知症の症状に気づくかについては、本人が気づく場合は、物がなくなることが増えた、作ってもらう料理の味が変わった、待ち合わせや約束を違えることが増えた、何事も面倒くさくなった、おとといの晩ご飯の献立が思い出せないなど。身近な人が気づくケースとしては、これまでより怒りっぽくなった、何度も確認が増えた、家電の操作ができなくなった、何事にも関心を示さなくなった、大きなお札で支払いをするなどをあげました。

来院に至るケースでは、本人や家族よりも、圧倒的に介護職やケアマネージャーからの連絡が多かったとのこと。また認知症と間違うケースとして、正常圧水頭症、甲状腺機能障害、うつ、慢性硬膜下血腫、薬の副作用があるようです。

軽度認知障害(MCI)の人たちに対し、寄る辺のない気持ちや自分はどうしてしまったのだろう、以前はこんなこともできたのに、家族はどうなってしまうのだろう、誰かが自分に悪いことをするんじゃないかなどの気持ちによりそうことが大切と説きました。

また認知症の予防と悪化防止のためには生活習慣病にも気をつけることが大事と語り、家族の驚愕から否認、怒り、抑圧、適応、再起に至る心の動きの流れにも言及しました。

本人の初期の情報がその後の治療に役立ち、市民や医療、行政などの地域包括ケアが大切と結びました。

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