~支え合う安心社会の実現に向けて~
朝日新聞厚生文化事業団は「福祉を支える地域づくり」「福祉を担う人づくり」「支援の輪づくり」を軸に社会福祉事業に取り組んでいます。

朝日新聞厚生文化事業団トップページ 最新のお知らせ 朝日こどもの未来 チェンジメーカー養成講座を開催しました

これまでの活動

朝日こどもの未来 チェンジメーカー養成講座を開催しました

子どもの貧困問題に取り組んでいる人たちが、より良い支援を続けていくためには何をすればいいのか。先進的な活動をしてきたNPOや行政関係者を講師に学び考える2泊3日の講座を、11月3日から5日まで千葉県習志野市で開催しました。

最高齢は80歳、最年少は18歳。北海道から沖縄まで、子ども食堂や学習支援、居場所作りなどをしている38団体の49人が集まりました。

初日は社会活動家で法政大学教授の湯浅誠さんが、「子どもの貧困対策ネクストステージへ」と題し基調講演。湯浅さんは、「思い」だけでは取り組みがうまくいかないと指摘しました。活動を持続し次の一歩を刻むには、地域と連携し、必要な社会資源として認めてもらうことが重要と強調。地域の理解を得て連携を進めるためには、自分たちが「周囲にどう見えるか」を考え行動することが必要と、自らの経験を交えながら語りました。

その後、大阪市西成区で取り組みを続ける「こどもの里」を追った映画「さとにきたらええやん」を上映しました。その後湯浅さんと、貧困問題の取材を重ねている朝日新聞の山内深紗子記者が対談。途中からは会場からの質問に2人が答える形をとり、映画を見ての疑問や支援を続ける中で出てきた悩み、マスコミとのつきあい方、中には「大学生の卒論アンケートが次々来るがどうすれば...」など、質問が途絶えませんでした。夜は夕食を兼ねた懇親会で、互いに初対面ながら盛んに名刺交換をしたり、会話が弾む姿が見られました。

講座2日目は硬さのとれた雰囲気で始まりました。
午前中は湯浅誠さんの司会で、東京都足立区で子どもの貧困対策に関わっている2人を講師に、取り組みを聞きました。
足立区子どもの貧困対策担当部長の秋生修一郎さんが、区内の子どもの置かれている現状や区の支援、行政とのつきあい方、NPOへの期待などを話しました。続いてNPO法人カタリバのアダチベースディレクターの堀井勇太さんが、同区に運営委託されている中学生の居場所と学習サポート拠点「アダチベース」の活動内容を紹介しました。後半は、行政との連携の進め方など会場から寄せられた質問に2人が答えました。

午後は、PubliCo代表取締役CEOの長浜洋二さんが「"共感・協力"を得るために~社会を変えるための設計図を描く~」の題で講義。長浜さんはビジョン(目指すもの)とミッション(ビジョン実現のための役割)を明確にし、効果的に相手に伝えなければ共感も協力も得られないと指摘しました。講義の後、参加者それぞれが模造紙と付箋を使い、自分たちの取り組みを発展させるための「ロジックモデル」作成のワークショップを行いました。

最後は日本ボランティアコーディネーター協会副代表理事の早瀬昇さんの講義「"参加"が高める組織の底力~参加型運営の可能性」。ボランティアがNPOに参加する意味や、参加しやすく満足感を持って活動を続けてもらえる組織運営のあり方や、安定的に寄付収入を得るための様々な手法を学びました。

最終日は、引き続き早瀬昇さんを講師に、9つのグループに分かれ、問題解決のためのワークショップに取り組みました。グループ内で「子どもの幸せ」をキーワードに意見交換し、それぞれが活動の中で問題と感じていることやその背景、ボランティアとともに解決・改善したいことなどを出しあいました。その上で問題解決のためのプログラムを考え、発表しました。

資金調達やボランティア集めのためのイベントなどすぐにでも実行できそうなアイデアが次々と出され、早瀬さんの「寄付集めの教え」を早速盛り込んだ発表には、会場から笑いが起きていました。

最後は「子どもの貧困対策センター 公益財団法人あすのば」の小河光治さんの司会で、講座を通しての気づきや学び、理解を深めたかったことをまとめました。終了前に1人1人が皆の前で今後への決意を述べ、3日間の日程を終えました。

参加者からは「『なんとなく延々と良さげなことをし続ける日々におさらば!』できるだろうか。自分たちの活動を分析し、俯瞰することをすべき時期だと思いました」「みなさんのパワーをいただき、今よりちょっと上を目指してがんばります」「(参加者の)いろんな決意が、私にとって大きな励ましとなった。また、いろんなカタチの貧困対策が連動して『なんとか』『少しでも』前進するのではないかと思った」などの感想が寄せられました。

今回ご参加いただいたのは、次の団体の皆さんです。

北海道 無料学習支援とご飯と遊びの場「おむすびころりん」
岩 手 インクルいわて
宮 城 せんだいこども食堂
山 形 フードバンク山形
福 島 ビーンズふくしま
埼 玉 ふじみの国際交流センター、Mooie Kenken (てらこや食堂)
千 葉 浦安こども食堂コミュニティ、コラボライフ
東 京 こどもの居場所作り@府中、ユースコミュニティー、野の暮らし、女性ネットSaya-Saya
神奈川 なんとかなる
新 潟 フードバンクにいがた
山 梨 bond place
静 岡 サステナブルネット
愛 知 小幡緑地冒険遊び場の会
三 重 こどもとともに育つ学びの会
大 阪 imaco、みんなでつくる学校とれぶりんか
兵 庫 ウエイズ・ジャパン
奈 良 Codomo食堂かんまき・地域防衛軍COKA
鳥 取 かめの泉
岡 山 子どもの家運営委員会、高梁市役所、子育て応援ナビぽっかぽか
山 口 周南市役所、山口せわやきネットワーク(こども明日花プロジェクト)、ライフワーク支援機構、母子生活支援施設 沙羅の木
高 知 高知あいあいネット・フードバンク高知 いこいの場「あいあい」
福 岡 うきは市社会福祉協議会、STOP!子どもの食と心の貧困 ボナペティ、エデュケーションキューブ
熊 本 ハンズハンズ
鹿児島 森の玉里こども食堂
沖 縄 ほのぼのプロジェクト

今回の講座で得た気づきや全国の仲間たちとの新たなつながりが、子どもの幸せを願う活動を前に進める力になれたら幸いです。