朝日新聞厚生文化事業団トップページ 事業のご報告

事業のご報告

第64回 朝日夏季保育大学を開催しました

保育従事者の技術と教養の向上のために始まり、64回目を迎えた朝日夏季保育大学を、7月21日、22日に長野県諏訪市文化センターで開催しました。「子どもの自己肯定感」をテーマとした今回の講座には、保育士をはじめ、幼稚園の先生ら「乳幼児の健やかな育ち」を願う、のべ約1,200人が参加しました。

オープニングは、詩人の谷川俊太郎さん、詩人、シンガーソングライターの覚和歌子さんに飾っていただきました。お二人の詩の中で関連性のあるものをそれぞれペアにした「ペアポエム」の朗読や「ステレオ朗読」、覚さんが作詞された歌などを披露しました。お二人から発せられるメッセージを通じて「ことば」のおもしろさや「ことば」を紡ぎながら思いを表現する素晴らしさを存分に体感できたステージでした。

その後、京都大学名誉教授の鯨岡峻さんが「子どもの心を育てる保育のために~保育のエピソードを通して考える~」をテーマに講演。実際のエピソード記述を例にあげながら、子どもの心を「育てる」営みについて解説しました。子どもの信頼感と自己肯定感の育ちには「養護の働き」が欠かせないことを強調。さらに、育てる営みの中の「教育の働き」も大切であり、その微妙な兼ね合いの中から子どもは育てられて育つのだと述べました。

続いて、白梅学園大学学長、東京大学名誉教授の汐見稔幸さんにご登壇いただきました。10年ぶりに改訂された「保育所保育指針」について、2018年度の施行に向け、保育の現場に直結する事柄を中心に分かりやすく解説しました。また後半部分は会場の参加者が少人数のグループに分かれ、汐見さんから示された課題についてそれぞれの思いや考えを語り合うグループワークを開催し、現場でどのように実践するのか考察しました。

2日目の最初は、川崎西部地域療育センター通園課園長であり、臨床心理士の幸田栄さんが「子どもが安心して生活するために~発達の気になる子どもの理解と支援~」と題した講演をしました。集団の中で気になる子・配慮を必要とする子どもをはじめ、すべての子どもが安心して生活できるために保育園などでできる工夫や保護者との協力関係についてを具体的に説明しました。

続いて、名古屋市熱田福祉会、けやきの木保育園園長の平松知子さんに、「保育でしあわせになる~こんな時代に求められる保育と福祉~」についてお話しいただきました。格差や貧困などで、自分らしく生きることが難しい現代社会において求められる保育の意義、役割について確認をし、実際の事例を挙げながら「子どもの本当に気持ちにたどりつく保育」について解説しました。

午後は、絵本作家でアーティストの田島征三さんによる「子どもに学ぶ保育講座」。これは「明日の保育に活かせる質の高い実技」をテーマに、子どもとの関わりを実践から学ぶ講座です。会場内の講義だけでなく、実際に講師に保育園を訪問していただき、子どもと接する様子を撮影。保育大学当日にそのVTRを上映することで、子どもの反応に応えながら、好奇心を刺激し、様々な可能性を引き出していくポイントを参加者に学んでいただくのがねらいです。今回田島さんには6月に新潟県十日町市の2か所の保育園で、木の実を使ったワークショップを開催していただきました。講義冒頭でその時の様子を上映。子どもの自由な創造力を引き出していくポイントを考える機会になりました。その後田島さんが登場。「子どもたちに伝えたいこと」をテーマに、絵本の朗読やメッセージを通じて絵本作家として、そして木の実や流木などによる作品を発表し続けているアーティストとしての自由な視点から、様々な話しをしました。

最後の講座は、法政大学教授で社会活動家の湯浅誠さんに登壇いただきました。「子どもの貧困問題と私たちにできること」という演題で、様々な場面において「溜(ため)」がなくなりつつある我が国において、その子どもを取り巻く貧困の実態や、あるべき社会の姿、そして子どもと関わる人たちが持っておくべき視点などについて、話しました。

ページ上部へ戻る