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これまでの活動

安心して暮らすための遺言セミナー「老いじたく~あなたの財産を未来に」

自分が認知症になった場合への備えや、相続で起きうる問題、簡単な遺言状の書き方といった様々な「老いじたく」について学ぶ「遺贈・遺言セミナー」を、東京、大阪、名古屋、福岡の朝日新聞各本社で開催しました。

東京(5月18日、参加99人)、大阪(5月27日、同142人)、名古屋(6月9日、同20人)の各会場は、成年後見制度や相続問題に詳しい弁護士の中山二基子(ふきこ)さん、福岡会場(6月28日、同28人)は、福岡県弁護士会の石井将(まさる)さんが講演をしました。

中山さんは、子どものいない80代のご夫婦の例を紹介。夫には「お金にうるさい」という兄弟がいましたが、自分の死後、遺産をめぐって兄弟が妻を困せることがないよう「遺産はすべて妻に相続させる」という遺言書を作成しました。先日、残念ながら夫は亡くなったそうですが、遺言のおかげで兄弟は誰も異議を唱えることなく、トラブルなく妻が全財産を相続できたとのことでした。

一方、中山さんは遺言を残さなかったために大勢の親族が現れ、相続に苦労した妻の例も紹介。「子どもがいない場合は、夫の兄弟姉妹も相続人となります。しかし、兄弟姉妹には遺留分がないので、『全財産を妻に相続させる』と、一行だけ遺書に書いておけば問題は起きなかったはず」と述べました。

遺言には「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類がありますが、中山さんは、とりあえず一番簡単な形の自筆証書遺言の作成を薦めました。

「遺言 全財産を××に相続させる 日付 名前と印鑑」と4行に分けて、必ず全文自筆で書いておけば有効な遺言となるそうです。

自筆証書遺言は、いつでも書けて費用も掛かりませんが、いざ相続が発生した時には遺言書を家庭裁判所へ持って行き、「検認」という手続きを受ける必要があります。一方、あらかじめ2人の証人の元で作成される公正証書遺言の場合は、そういった作業はいりません。

また認知症になった場合への備えとして、自分に判断能力があるうちに、財産などを管理してもらう人を決めておく「任意後見制度」についても説明がありました。

後半の質疑応答のコーナーでは、会場から「任意後見人になるために資格が必要なのか」といった質問や「遺贈を検討しているが適切な団体をどのように探したらよいのか」、「専門家に遺言書の作成依頼をした場合の費用はどれくらいか」といった質問が出されました。

福岡市で開かれた遺贈・遺言セミナーでは石井将弁護士が、高齢化が進む中、相続制度の見直しが検討されているとし、「相続」が「争族」にならないための予防策や「知っておくと役立つ遺言と相続の法律知識」について、詳しく説明をされた。自分の財産を自分で処理出来る「遺言書」は、トラブル回避に役立つことを強調されました。