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事業のご報告

椎名誠 講演会「人生の最終章を自分らしく生き抜く」を開催

作家の椎名誠さんを講演者として招き、世界を旅する中で椎名さんが出会ったという、様々な葬儀や死の在り方について、大阪と東京の会場で語っていただきました。大阪は11月8日に大阪市西区の大阪YMCA会館で、東京は11月15日に東京都中央区築地の浜離宮朝日ホールでそれぞれ講演会を開き、大阪会場には251人、東京会場には362人が参加しました。

椎名さんは、肉親の死や少年時代に体験した親友の自死などについて綴った「ぼくがいま、死について思うこと」という本を、新潮社から2013年に出版。今回の講演では、自身が望む葬式の在り方などを含めて、生きることや死ぬことについての思いを述べました。

世界の様々な葬式を見聞きしてきたという椎名さんが、「一番うらやましい葬式」として挙げたのが、チベットの鳥葬。チベットでは遺体を埋葬せずに、ハゲタカなどに食べさせて処理します。

チベット好きの妻から聞いた話として、ラサの都市部で行われているという鳥葬の方法を詳しく紹介しました。チベットでは大きな寺の裏に大抵、「まな板岩」と呼ばれる岩があり、その上で遺体を刻むそうです。父親が亡くなると、その遺体を息子がむき出しのまま背負って寺へと運びます。そして、チベットの僧侶が地元で使われているチベット暦に基づいてめでたい日を割り出して、鳥葬を行う日を決めます。

寺の裏にある鳥葬場で、ハゲタカが食べやすいように遺体を細かく割り、チベットの人々が主食にもしている、サンパと呼ばれる麦こがし粉で包んでダンゴにしてやると、30分くらいで鳥が食べて跡形もなくなるそうです。

椎名さんは、これは一種の鳥への施しでもあり、お金も掛からず、遺影もなく、悲しみもまたすぐになくなっていくであろう葬儀として「きれいさっぱり自分が亡くなるのはいいなと思った」と評価しました。

椎名さんが次にあげたのは、モンゴルの風葬。これは実際には遺体をそのまま野ざらしにするという遺体処理で、椎名さん自身もモンゴルを旅しているときに、人骨が多数転がっている風葬の場に、数回であったそうです。

また同じ鳥葬でも、拝火教として知られるゾロアスター教では、「沈黙の塔」と呼ばれる高さ10メートルほどの塔の上に遺体を置くことで鳥葬が行われ、塔の上にある網の間をぬって、あとから骨だけが下に落ちてくるという仕組みとなっているそうです。

インドシナ半島における「ジャングル葬」や、ガンジス川にそのまま遺体を流すインドの水葬なども紹介しました。若い頃に行ったインドのバラナシの沐浴場では、インドの人々に混じってガンジス川を泳いだ際に、膨れあがった水死体と川で出会ってしまった、というエピソードなども語りました。

「埋葬の仕方は、本当にいろいろ」という椎名さんが、以上のいずれの方法にも共通することとして挙げたのが「墓が存在しない」という点。「昔の日本の土葬などと同じでやがて大地と一体化する。墓がないのは、いかに地球に優しいかがわかる」と話をまとめました。

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