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事業のご報告

講演会 おひとりさまの認知症と成年後見制度(大阪・東京)を開催しました

後半の第二部で会場からの質問に答える、写真左からノンフィクション・ライターの中澤まゆみさん、司法書士の村山澄江さん、社会福祉士の田村満子さん

独り暮らしの高齢者が、もし認知症になったらどうしたらいいのか、判断が難しくなった自分に代わって財産などの管理をしてもらう「成年後見」とはどのような制度なのか--。

老後にふりかかるそんな不安について、いちから学べる講演会「おひとりさまの認知症と成年後見制度」が2月21日(土)に大阪市西区の大阪YMCA会館 ホールで開かれ、約160人の市民が聴講に訪れました。

講演したのは、司法書士の村山澄江さん、ノンフィクション・ライターの中澤まゆみさん、社会福祉士の田村満子さんの三人。

村山さんは、「今日から成年後見人になりました」(自由国民社)の著者で、司法書士という立場から、成年後見制度の仕組みや利用の仕方について、分かりやすく解説しました。

中澤まゆみさんは、ひょんなことから知人の女性の成年後見を引き受ける立場となってしまった自らの実体験を詳しく紹介。成年後見人を引き受けるということのリアルな現状について報告しました。中澤さんの体験は、他の実例も交えて「おひとりさまの終活」(三省堂)などの著書にまとめられています。

大阪府や大阪市の後見支援センターで専門相談員を務めている田村さんは、大阪という地域に根付いた形での成年後見について解説。同じ成年後見でも地域ごとに取り組み方の違う点などを浮き彫りにしました。

村山さんは、成年後見制度は、すでに判断力が衰えている人のための「法定後見」と、現状はまだ判断力に問題がない「任意後見」の二つに大きく分かれることをまず説明。

後見人になるには、弁護士や司法書士といった特別な資格は必要ないものの、法定後見人の場合は、誰がなるのか、いくらで引き受けるのかといった費用などについては、家庭裁判所によって決められる仕組みだと説明しました。一方の任意後見人は、公証役場で公正証書を作れば誰でもなれます。

後見人の報酬については、管理する財産の額に寄って異なるものの、「最低が月2万円、多くは月額3万~6万円程度で、後見を受ける本人がお財布から出せる額以上にはならない」と費用負担を説明しました。

中澤さんは、おひとりさまで暮らしていた15歳年上の友人が初期のアルツハイマー病を発症したため、2007年に任意後見となりました。ですが実際は、後見人の仕事だけでなく、友人の「よろず処理係」となってしまったという体験を披露しました。

友人は認知症だけでなく、拒食症を併発して病院を転々とし、その上、介護が必要になり、その費用の工面のため友人の実家を売ったり、いないはずだった友人の親戚が急に現れて怒鳴り込んできたりといった、この8年間に降りかかってきた実体験を語りました。

色々と苦労された中澤さんですが「今は、後見人を続けてよかったと思っています」と振り返り、認知症のケアなどに悩む人たちに対して「自分だけで背負い込まないで。周りの人に助けてと言って下さい」と訴えました。

田村さんは、ご近所の一般市民が後見人を行う「市民後見人」について、大阪府の実情を解説しました。大阪府が開く研修会を受けた人たちが、家庭裁判所から選任されるとなれる仕組みだが、専門職ではないので、トラブルがないケースなどの後見に限られます。基本的に無報酬ですが、研修を受け、名前を登録している人は、すでに約200人いるそうです。

休憩を挟んだ後半の第二部では、会場に集まった人々からの質問を受け付け、「信頼できる後見人は、どう探せばいいのか?」、「本人が後見をいやがっている場合には、どう対処したらいいのか?」といった質問に答えました。

東京会場で来場者の質問に答える、左から中澤さん、村山さん、長田さん。

3月15日(日)に東京・築地の浜離宮朝日ホールで、同じ内容の講演会が開かれ、約210人の市民が参加しました。遠方からは北海道や岩手、京都などからも聞きに来られた方がいました。

東京の講演会では、大阪の田村満子さんに代わり、認定社会福祉士で、東京・多摩地区で成年後見などのソーシャルサポートを行っているNPO法人ソーシャルネット「南のかぜ」理事長の長田さかゑさんが、後半の鼎談に参加しました。

長田さんからは、「南のかぜ」が行っている「法人後見」について簡単な説明が行われました。法人後見では、個々人ではなく、法人が後見人を引き受けます。個人ではないので、なんらかの理由で後見人が実務を行えなくなっても、担当者を変更する事によって後見の実務を滞りなく続けられる、といった利点があります。

来場者からは、「費用はどのくらいかかるか」といったお金に関する質問が東京会場でも多く寄せられました。また、「認知症になった人が、高価な羽毛布団などを買わされてしまった場合などに返品できるのか」という質問も出され、講師陣からの回答は「法定後見人が付いていれば返せる」ということでした。

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