~共に生きる豊かな福祉社会のために~
朝日新聞厚生文化事業団は「福祉を支える地域づくり」「福祉を担う人づくり」「支援の輪づくり」を軸に社会福祉事業に取り組み、創設90周年を迎えました。

朝日新聞厚生文化事業団トップページ 事業のご報告

事業のご報告

朝日チャリティー美術展9日トークセッション

左から千住博さん、千住真理子さん、司会の松尾貴史さん。左端にみえる作品が千住博さんが出品した「夜の桜」

「朝日チャリティー美術展」が90回を迎えることを記念したトークセッション「芸術の力」の3回目の対談が9日午前、東京の銀座フェニックスプラザで催された。日本画家の千住博さんとその妹でバイオリニストの千住真理子さんの二人が、「だれもがより良く生きるために」と題し、絵画や音楽が社会に果たす役割について話し合った。司会は、博さんが教授を務める京都造形芸術大学の映画科客員教授で、マルチタレントの松尾貴史さんが務めた。

千住博さんは「芸術とは、自分が属する世間だけでなく、別の社会にいる人にも自分を開き、分かり合えない人とも分かり合おうとコミュニケーションを取ろうとすること」と述べ、東日本大震災やニューヨークの同時多発テロの際に人々が助け合った例を挙げ、芸術は社会との結びつきの中にこそあるということを強調した。

博さんは、東日本大震災の混乱時にいち早く現地にボランティア入りし、全てを失った現地の人々に「いま、何が一番欲しいですか」と尋ねたら、「美しい絵が見たい」と言われた体験を述べ、芸術には人を癒やす力があることを訴えた。

また、被災地に一緒に行った同僚の建築家から、宮城県女川町の風呂屋の壁に絵を描いて欲しいと頼まれ、生まれて初めて銭湯の壁にタイル絵で富士山を描いた逸話も紹介した。

「生きている人々だけでなく、津波で泥に埋まり亡くなっていった方々も、きっとお風呂に入りたがっているだろうと、そういった思いに背中を押されながら、飛行機で見たような雲の上からの富士山を描いたら、これがうまく描けた」と話し、芸術には、自分の目線を超える視点をもたらしてくれる力があることを述べた。

真理子さんも、ボランティアとして被災地に何度も入ってバイオリンの演奏会を開いてきたが、「自分の方が頑張れと言われた気がして、心がシャンとしていつも東京に戻ってくる」と、芸術の力で人々が励まされ、心もつながることを訴えた。

また真理子さんは、クラシックというと日本では構えられてしまいがちなので、勉強や小難しいルールは脇におき、まずは楽しんでもらいたいと述べ、兄の博さんも、家族の前で時々バイオリンを弾くことがあることを紹介した。

「上手下手ではなく、本人が楽しんでいるその姿を見ると、これこそ音楽だと思う」と述べ、博さんも「家族の中では母親だけが、『博、うまくなった』と言ってくれる」というと会場からは笑いが漏れ、ほほ笑ましい千住家の一面も紹介された。

ページ上部へ戻る