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高次脳機能障害講演会「よくなるということ」

 交通事故や病気で脳を損傷した高次脳機能障害の人たちは、日常生活の中でさまざまな問題に直面しています。当事業団は、当事者とその家族、医療・福祉関係者らを対象に、2月24日、広島YMCA国際文化ホールで、高次脳機能障害講演会「よくなるということ」(高次脳機能障害サポートネットひろしま共同主催)を開催しました。入場者180人。

 脳が損傷を受けると完全に元に戻ることはないといわれています。講師の一人、小澤富士夫さんは仕事中にくも膜下出血で高次脳機能障害の当事者になり、米国で1年間治療・リハビリを受けました。その結果、渡米前と帰国後では能力的なデータにあまり差がないにもかかわらず、劇的に症状が改善しました。「よくなるということ」の意味を私たちはどのように理解をすればよいのかを講演会で探りました。

 第1部では、西広島リハビリテーション病院病院長の岡本隆嗣さんが、「高次脳機能障害の理解」と題し障害の症状について説明。次に立神粧子さんが米国での治療・リハビリの概要を説明した後、夫の小澤富士夫さんが米国で学んだ手法を生かしながら日常生活をどのように送っているかを話してくれました。

 第2部のシンポジウムでは、コーディネーターの岡本さんが、小澤・立神夫妻に「生活上で互いのストレスはないか?」との問いに、立神さんは「腹が立つことがあったらぶつけなさいと米国で指導を受け、適度に発散しています」と述べ、小澤さんは「妻に対するよりも、自分のできないことに対してストレスを感じる」と応えました。広島で発足当時から家族会を支え続けている、言語聴覚士で県立広島大准教授の本多留美さんは、「障害をもつことで、一番難しいことは意欲とコミュニケーション。よくなるためには、自分が変わろうという意識が大切」と述べました。

 最後に、岡本さんは、神奈川リハビリテーション病院で診察したことのある経緯から、「小澤さんは記憶の検査では今でも強い低下を示している。しかし米国の治療・リハビリにより、障害によるさまざまな問題の対処方法をもっており、いきいきと暮らしている。ゆっくりとあせらず、目標をもって着実にリハビリをすることが大事」とまとめました。