これまでの活動
【活動報告】当事者活動の共有とこれからを考える全国集会「ぴあミーティング」を開催しました
全国の児童養護施設や里親家庭などを巣立った応援メンバー19名(社会人5名、学生14名)が、千葉県習志野市に集まり、2026年9月12日〜13日の2日間にわたり、「ぴあミーティング」を開催しました。
この集いでは、プロジェクトの成果発表、全国6エリアでの「ぴあコネクト」活動報告、そして持続可能な組織体制に向けた「未来の活動会議」を実施しました。
活動について
社会的養護のもとで育った若者は、施設や里親のもとを離れた後、生活や学業、社会生活の中で孤立や不安に直面することが少なくありません。この活動は、こうした課題に対して多様な関わりの中でアプローチしています。
この取り組みの大きな特徴は、支援を受ける立場だった若者が活動を通して成長し、次代を担う現在施設・里親等で暮らす中高生(後輩たち)を支える存在へと変わっていく点にあります。先輩当事者がロールモデルとなり、自身の進路選択や一人暮らしの実践知を共有することで、後輩たちは将来への具体的なイメージを持つことができます。この「支えられた経験が、次の世代を支える力になる」という循環こそが、当事者活動の持つ大きな社会的価値です。
みんなが安心安全に成長できる場に
当事者同士が集う場は、過去の経験や悩みを受け止め合える「いつでも戻ってこれる安心できる居場所」としての機能を担っています。それだけでなく、企画の立案・運営や調査分析、意見表明などを自ら手掛けるプロセスを通して、社会性や課題解決能力を育む「成長の場」にもなっています。
各プロジェクト・地域活動(ぴあコネクト)の報告
1日目は、全国規模で展開する5つのプロジェクトと、全国6つの地域活動(ぴあコネクト)による活動報告が行われました。
各プロジェクトの取り組み
| ブックチーム | 社会的養護で暮らす後輩(中高生)へ向け、進路や一人暮らしの体験談をまとめた冊子を発行。全国の児童養護施設や里親家庭等へ届けている。14号では書き込み式ワークシート記事を掲載。12月に15号、来年2月に16号の発行を予定しています。 |
|---|---|
| ぴあMTGチーム | 年1回の宿泊型全国集会の企画・運営。地域活動(ぴあコネクト)との繋がりを持たせて、地域の課題を全国で考える繋がりを作っていきます。 |
| シェアチーム | 「お金セミナー」や「進路カフェ」、11月の全国児童養護施設長研究協議会(栃木大会)での登壇予定など、対面を中心とした学びの場を報告しました。 |
| Miomusチーム | 奨学金検索サイト『Miomus』の運営や、埼玉県で約120名が参加した進路相談会について報告。12月12日には「奨学金団体交流会」の開催を予定しています。 |
| ラジオチーム | 声でつなぐ『未来の選択肢』」を掲げ、関西コネクトで収録(学食トーク)を実施。施設職員インタビューや精神科医・専門家と学ぶセルフケア番組の制作を進めています。 |
全国6エリアでのぴあコネクトの取り組み
| 北海道 | 札幌市内の2箇所の施設での対話・ワークショップを振り返り、養育者向け対談企画や専門家対談の冊子化構想を発表。 |
|---|---|
| 東北関東 | ケアリーバーの退所後支援の断絶を防ぐため、地域支援機関へのヒアリングと当事者調査を推進。調査フォーマットの全国共有と他エリアでの比較調査を呼びかけました。 |
| 首都圏 | 施設訪問での出費クイズや引っ越し体験談を報告。今後は料理やお菓子作りなど参加しやすい企画を入口に自立支援へ繋げる方針を共有しました。 |
| 東海 | 愛知県の施設長会・里親会・フォスタリング機関と連携し、双方向で体験談や自立のハードルを語り合う研修プログラムを検討準備中。 |
| 関西 | 中高生の理想実現に向け、ロールモデル紹介や必要な支援につながっていない子どもへのアプローチを検討。全国里親大会への研修として参加します。 |
| 九州 | 一人暮らし防災マナー教室や、熊本地震被災地の子どもたちのメンタルケア企画「熊本こども応援団(仮)」の立ち上げを発表しました。 |
これからのぴあ応援団
リーダーのゆめかさんと団長のしょうりさんから、今後の団体方針と将来像についての発表がありました。
メンバーのやってみたいを応援
リーダーのゆめかさんからは、全国規模のチーム性と地域密着を組み合わせた「ハイブリッド型」の活動の提案や、自身の心に向き合い過去・現在・未来を整える「サロンプログラム」の拡大、メンバーの「やってみたい」という気持ちを形にする「挑戦リスト」の導入を通して、より柔軟で参加しやすい環境づくりを目指す姿勢が示されました。
持続可能な組織へ
団長のしょうりさんからは、活動の根底にある「ぴあ応援団の3つのビジョン」が共有されました。
1. 社会的養護で育った経験を生かし、子どもたちの未来を切り開く
2. 安心と支援の輪を全国に広げる
3. みんなの心の寄り所となり、自分らしく生きられる未来を創造する
さらに、10〜30年後を見据えメンバーによる自立的運営の未来像の共有や失敗を恐れずに挑戦できる場であり続けるとともに、一時的に活動を離れても「いつでも戻ってこられる」居場所を維持していきたい気持ちが共有されました。
これからを考えるワークショップ
1日目のグループワークでは、各活動発表を受けて、「全国のプロジェクト活動を地域でどう展開するか」「地域の課題をどう全国で解決するか」をテーマに議論が交わされました。
全国プロジェクトを「本社」、各地域を「支社」に見立ててツールやノウハウを共有する「本社×支社モデル」や、プロジェクト本部をローテーションする持ち回り案などが提案され、課題と向き合いながら持続可能な形が探られました。
2日目は「未来の活動会議」と題し、組織が持続可能に走り続けるためのモヤモヤや課題整理とアイデア出しを行うワークショップが実施されました。
ワークショップで出た主な意見
メンバーの学業・仕事・生活とのバランス、活動量の偏りや負担感、休んだ際の復帰のしづらさ、情報の把握やコミュニケーションの壁など、本音が共有されました。
モチベーション管理と関わり方の柔軟化
学業や仕事の状況、個人のメンタル面の波によって活動に参加できる度合いが変わるため、無理なく関われる仕組みや、精神的な負担を減らせるサポート体制が必要だという意見が出ました。
情報の透明化と共有方法の工夫
会議を欠席した際に情報から置いていかれやすい課題に対し、メンバー専用サイトの活用や、文字だけでなく動画・音声資料なども取り入れたわかりやすい議事録・共有方法の工夫が提案されました。
得意分野や希望に応じた役割分担
「企画作り」「裏方作業」「対面での発言」など、メンバーそれぞれの得意・不得意ややりたい作業を可視化し、希望や強みに合わせた役割振りができるアンケートや掲示板の設置案が出されました。
関係性を深める交流の場づくり
業務や会議だけの関係にならないよう、雑談や趣味の話題で盛り上がれるオンラインお茶会や、対面での親睦会・レクリエーションなどを定期的に開催し、日常的な繋がりを強めたいという声が多く上がりました。
現場の課題整理
団長のしょうりさんからは「共有している議事録を事前に確認し、全体の流れを把握すること」「人を無理に増やす前に、まずは足元の体制や情報共有をしっかり整えること」など、組織として着実に歩んでいくための重要な指摘や意見が示され、現状の課題を隠さずに話し合い、課題に向き合う機会となりました。
また、これまで学生メンバーが主体となり、中高生に向けて様々な取り組みや情報発信を行ってきましたが、社会に出て働き始めてから直面する精神的な葛藤や、新しく自分自身に向き合う必要性について「社会に出てからの悩みや対処法は、事前に教えてもらう機会がなかった」という実感が共有されました。
これを受けて、社会に出て様々な経験を重ねてきたメンバーだからこそ、先を歩く先輩として後輩たちに伝えられることがあるのではないか、そうした視点も届けていきたいという前向きな声が上がりました。
これからのこと
出された意見をもとに、今後の具体的な決定プロセスが共有されました。
1. 全メンバーへの意見共有
ミーティングの成果・アイデアを全メンバーに共有し、追加の意見を受け付ける。
2. 新体制案のとりまとめ
リーダーチームを中心に具体像を1つの資料に整理する。
3. 幹部協議と各チーム説明
マネージャー・団長ら幹部で精査し、各プロジェクト・エリアMTGで説明・共有する。
4. 正式決定
12月末までに新活動体制を決定し、次年度からの本格運用へ移行する。
参加者の声
集いでの振り返り(クロージング)や実施後アンケートからは、メンバーがそれぞれの立場で感じた活動の価値や意識の変化が寄せられていました。
メンバーのコメントをいくつかご紹介します。
「いつでも戻ってこれる安心できる居場所」
- 「メンタル不調でお休みしていた時期がありました。お休みしている人が罪悪感を感じにくく、個人の余裕に合わせた関わり方ができ、復帰の時も親切で温かく迎えてもらえる環境であるといいなと改めて思いました。」
- 「1年生の時から大勢が集まる場がすごく苦手で、何年経ってもガチガチに緊張してしまいます。でも、だからこそ同じように感じている人も気軽に帰ってこれる場であってほしいし、周りと比べずに自分なりの視点で発言していけばいいんだと思えました。」
- 「自分自身混乱することもありましたが、こうやって変革期に意見をしっかりと扱って検討してくれるところが本当にこの応援団の魅力で、だからこそ続けられているんだなと実感しました。」
直接語り合うこと
- 「オンラインも手段として大事ですが、やっぱり対面で会って伝わってくる熱量や絶妙な温度感は、直接会って話したからこそすごく感じられた部分でした。こういう場を用意してくださる事務局職員の方々や関係者への感謝を社会人になってより強く感じます。」
- 「社会的養護の当事者活動は、社会人になって仕事をしながらオンラインや休日の時間を使って関わり続けることが正直とても難しいと感じています。それでもわざわざ足を運びたくなる、関わり続けたいと思えるこの場所のつながりや温かさは、本当にすごいことだと思います。」
- 「グループワークなどでも硬くなりすぎず、お互いに意見交換したり少しふざけ合ったりできる温かい空気感がありつつも、全員が同じように課題意識を持って『この活動をもっと良くしたい』という温度感で取り組めていることが素晴らしく、参加できて本当に良かったです。」
支援を受ける側から、社会的養護を良くしていく活動へ
- 「同じ境遇の人達だからこそ、仲間意識を持って、共に向き合える人達だからこそ、この機会は自分にとっても学びとなりました。改めて自分の将来の道についても考えさせられました。さらに自分だからできることで貢献していきたいと思いました!」
- 「これまではどこか『義務感』で参加していた部分もありましたが、活動のクオリティが上がっていく中で、今では純粋なモチベーションとして関われるようになりました。自分たちの経験を次につなげていきたいです。」
おわりに
今回の「ぴあミーティング」は、日頃の取り組みの成果を確認し合うだけでなく、直面する課題に対しても向き合い、次のステップへと踏み出すための貴重な機会となりました。
支援を受け取る側から、主体となって活動し、次世代の若者たちを温かく包み込む存在へ——メンバーたちが描くビジョンは、これからの社会的養護のあり方に大きな意味を持つものです。
彼ら彼女ら自身の歩む道のりが後輩たちの道標となることを期待するとともに、活動の発展と持続可能な運営に向けて、今後も必要な伴走・サポートを継続していきます。これからも、社会的養護がより良くなるために様々な活動に取り組んでまいります。
「私たち「ぴあサポーターズ」は、ぴあ応援団の活動を応援しています。」
「ぴあサポーターズ」は、社会的養護を経験した若者たちを応援する、朝日新聞厚生文化事業団、資生堂子ども財団、ゼンショーかがやき子ども財団、モバイル・コミュニケーション・ファンドによるネットワークです。