~支え合う安心社会の実現に向けて~
朝日新聞厚生文化事業団は「福祉を支える地域づくり」「福祉を担う人づくり」「支援の輪づくり」を軸に社会福祉事業に取り組んでいます。

朝日新聞厚生文化事業団トップページ 最新のお知らせ 社会的養護経験者が地域紡ぐ「ぴあコネクト」を開催しました

これまでの活動

社会的養護経験者が地域紡ぐ「ぴあコネクト」を開催しました

ぴあ応援団では、全国6つのエリアにおいて、各地域の特性や課題に応じた独自の取り組みを検討・実行することを目的とした地域別企画「第1回 ぴあコネクト」を開催いたしました。

今回の「ぴあコネクト」では、全国で合計延べ34名が参加し、各エリアでの対話や施設訪問、ワークショップを通じて地域課題の解決に向けた第一歩を踏み出しました。

【実施エリア・開催日】

  • 6月28日(日)北海道エリア(札幌市)
  • 7月5日(日)東北関東エリア(さいたま市)、東海エリア(名古屋市)、関西エリア(大阪市)、九州エリア(福岡市)
  • 8月1日(土)首都圏エリア(東京都練馬区)

「ぴあコネクト」の目的

「ぴあコネクト」の主な目的は、「地域の社会的養護をより良くするために、ぴあ応援団としてできること」を考え、実行するプロセスを構築することにあります。全国各地の応援メンバーが、地域や現状の課題に焦点を当て、自分たちにだからこそできることを明確化することを目指しました。

全国6エリアにおける実施内容

① 北海道エリア

4名のメンバーが札幌市内にある2箇所の児童養護施設(「興正学園」および「柏葉荘」)を訪問し、体験型ワークショップを開催しました。計20名の中高生が参加し、メンバー自身がロールモデルとなる進学経験を伝えたり、奨学金情報サイト「Miomus」の説明を行いました。交流会では自分を1本の樹に例え、根っこに支えてくれた人、幹に自分の強みを描くワークを実施しました。

施設の訪問に際しては、学習支援に取り組むNPO法人Kacotamにご協力いただきました。メンバーは、学習支援と並行して自分たちが先輩として伴走することで、子どもたちの将来の選択肢を広げられるのではないかと、今後の展開も見据えています。また発達支援などを行う社会福祉法人麦の子会を、見学訪問させていただきました。

31232277

② 東北関東エリア

メンバー5名がさいたま市に集まり、施設退所後の支援が途切れてしまう問題や、自治体間での支援体制の格差、支援情報が当事者まで届いていない現状が深刻な課題になっていることに着目しました。

次のアクションとして「ケアリーバー(施設退所者)およびインケア(施設・里親のもとで暮らす子ども)の実態調査」に向けた準備を進めています。各自が居住する地域の里親会や施設協議会などの支援機関へのヒアリングを通じて現場のニーズを把握し、地域差を解消するための具体的なアクションを検討しています。

31232284

③ 首都圏エリア

メンバーの出身施設でもある東京都練馬区の児童養護施設「錦華学院」にて、進学や一人暮らしについて伝えるセミナー「10代のモヤモヤ解消セミナー」を開催しました。12名のメンバーが4班に分かれ、参加した中高生10名および養育関係者9名と交流しました。

「一人暮らし丸わかりクイズ」では生活費や各種手続きに関する知識をクイズ形式で出題したほか、パネルディスカッションでは措置延長や進学後に活用できる支援制度、一人暮らしの失敗談などを共有しました。

初参加のメンバーからは「同じ境遇から頑張っている仲間を見て励まされた」との声が寄せられました。今後は、子どもたちが楽しみながら参加でき、ロールモデルに出会えるような場所作りや、実生活に役立つ知識や制度をSNSを活用して情報を発信するような活動の案が挙がりました。

31232283

④ 東海エリア

東海エリアではメンバー2名が参加し、少人数ながら密度の高い対話を行いました。今後の計画として、愛知県内の児童相談所の職員との情報交換や交流を実施するなど、支援者側への働きかけを軸とした活動を立案しました。職員には「施設や里親家庭でのリアルな育ち」を、当事者には「現在の制度や他施設の現状」を共有し合うことで、「お金や児童養護施設等での生活環境を理由に、進学ややりたいことを諦めないで済む環境づくりをしたい」と目標を定めて議論を深めました。

31232282

⑤ 関西エリア

関西エリアではメンバー5名が参加し、社会的養護における「格差」と「孤立」という課題に着目しました。今後は施設や里親会の研修に参加して現場の実態を把握し、当事者の声をフィードバックしていく活動を予定しています。

また、当日は関西エリア外のラジオチームの協力を得て、当事者の思いを音声で発信する番組「学食トーーク」*の収録を行いました。※収録した内容は、ぴあ応援ラジオ内で8月下旬公開予定です。

31232281

⑥九州エリア

九州エリアでは6名が参加し、社会に出た際の「危機管理能力」に着目しました。児童養護施設で戸締まりや私物の管理・マナーを学ぶ「防犯マナー教室」を開催する企画を考え、将来的にはその知見を絵本や冊子にまとめて全国の施設へ発信・普及させるという具体的な展望を共有しました。

31232280

参加者アンケートから見る成果と手応え

全エリアを通じて実施されたアンケート結果からは、参加したメンバーが主体性を持ち、活動の意義や活動を通して自身の成長を実感している様子がうかがえました。

送り手としての自覚

初めて参加したメンバーからは、「これまで支援を受ける側だった自分が、情報を提供する側に回ったことは新しい感覚で面白かった」「自分の体験が中高生の力になれると思った」、新しい視点の発見や役割意識の芽生えにつながったという意見が寄せられました。

心理的安全性の確保と連帯感

「社会的養護の経験を自然に受け入れてくれる雰囲気があり嬉しかった」「自分と同じ境遇の仲間がこんなにいて、初めて深い話ができた」など、ピア(当事者・仲間)同士だからこそ得られる安心感と連帯感が、活動の原動力となっているという回答がありました。

地域活動への積極的な参加意欲

「少人数だからこそ深く話し合え、精神的な負担が少なかった」「次は他の県にも行ってみたい」「エリアの運営を積極的に引っ張っていきたい」など、継続的な関わりやリーダーシップの発揮に対する前向きな回答が多く見られました。

今後の展望:全国的な知見共有と循環型組織の構築

第1回となる今回は、単なる1回限りの地域活動にとどまらず、各エリアの強みとノウハウを全国に波及させる「循環型組織」の土台を築く機会となりました。

各エリアの「成功モデル」のパッケージ化と水平展開

東海エリアの「児相職員等向け研修モデル」、九州エリアの「防犯マナー教室」、首都圏エリアの「自立支援セミナー・クイズ」など、各地域で開発された独自のアプローチを体系的に整理します。特定エリアでの成功事例を他エリアへ共有・展開することで、全国的な活動の質を底上げする仕組みを構築します。

定期的な全国意見交換会の開催

各エリアのメンバーが定期的に集まり、自地域での実践結果や直面した課題を共有し合います。単一エリアでは解決が難しい課題に対しても、全国の知見を結集して突破できる協力体制を目指します。

「循環型ボランティア団体」としての組織成熟

「地域で試行し、全国で共有し、他地域で洗練させる」というサイクルを定着させ、特定メンバーの負担に偏らない自律分散型の組織基盤を整えます。メンバーが学業や仕事の状況に合わせて無理なく参加できるよう、オンラインでの準備作業や役割のモジュール化(分担化)を進め、持続可能性を高めてまいります。

おわりに

開催にあたり、「ぴあサポーターズ」として多大なるご支援・ご協力をいただきました資生堂子ども財団、ゼンショーかがやき子ども財団、モバイル・コミュニケーション・ファンドの皆さま、ならびに温かくお迎えくださった児童養護施設「錦華学院」および「興正学園」、「柏葉荘」、「麦の子会」の皆さまに、心より御礼申し上げます。

今後とも、社会的養護を経験した子どもたち一人ひとりが安心して自らの未来を描けるよう、全国の実践知を結集した取り組みを進めてまいります。

「ぴあサポーターズ」は、社会的養護を経験した若者たちを応援する、朝日新聞厚生文化事業団、資生堂子ども財団、ゼンショーかがやき子ども財団、モバイル・コミュニケーション・ファンドによるネットワークです。