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連載インタビュー
「保育の質」を考える~子どもにとって、より良い保育のために~
第6回:中田純子さん(後編)
文:勝見文子 編集協力:河井健
中田 純子 (なかた じゅんこ)さん
社会福祉法人心華会 ひいらぎこども園 理事長・園長、日本保育学会会員、一般社団法人京都府保育協会 副会長
1980年4月~2003年3月 京都市立小学校教諭(2001年4月~2003年3月 京都市作文教育研究会研究部長)。2003年4月~2005年3月 社会福祉法人心華会ひいらぎ保育園副園長。2005年4月~同園長。2013年9月~社会福祉法人心華会理事長。

目次
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1.「処遇改善等加算Ⅱ」と「京都式保育人材キャリアパス・パスポート」の効果
- 国は2017年度、保育士や保育教諭の待遇向上とキャリアアップを目的に「処遇改善加算Ⅱ」を導入しました。保育園の場合、「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」を置いた園に対し、1人あたり月額5千~4万円を公定価格に上乗せして支払うものです。保育者としての経験年数だけでなく、研修の受講などもこれらの役職に就く要件とされました。この改正は、現場にどのような影響を与えましたか?
-
保育士らのマインドがよりポジティブ(前向き)になったと思います。保育の仕事は社会を支えるものなのに、賃金も地位も相対的に低い。待遇改善は絶対に必要なのです。
私が園長を務めるひいらぎこども園では、保育教諭が積極的に研修を受けるようになりました。ほかの施設も同様だと思います。これには新型コロナ流行の影響もありました。
- なぜですか?
-
府から府保育協会が受託した研修は、原則として保育士らが会場に集まる形で実施されていました。コロナ禍でそれが難しくなり、オンライン研修を導入したのです。
私は協会の研修委員も務めており、導入を機に、研修時間を昼間に設定してみました。子どもたちのお昼寝時間とあわせ、なるべく保育に支障が出ないようにするのが目的です。これが奏功し、受講者が増えました。
京都は南北に長く、現場研修は保育士らに移動の負担を負わせます。また、府外から講師を招くとなると、交通や宿泊などの費用がかさむ。スケジュールの調整も大変です。オンラインの導入で、これらの課題が解消されました。加えて、研修の様子を録画し、後からいつでも見られるようにしました。コロナ後も現場とオンラインの両方で研修しています。
- コロナ禍では保育現場も大変だったと思います。一方で、国の制度改正とオンライン研修の導入がそれに重なったことで、キャリア形成が促される一因にもなったのですね。
-
はい。府が2017年度に策定した「京都式保育人材キャリアパス」と「京都保育人材パスポート」も、キャリア形成を後押ししたと感じています。前回お話したように、人材キャリアパスは保育園なら園長までの6段階の役職に就くための道筋をわかりやすく示したモデル、パスポートは研修の受講歴を自ら記録・保存できるノートです。
「学びの記録」がパスポートで一覧できるのは、保育士らにとって嬉しいものです。所属園の人事考課で、自己評価を提出する際にも役立ちます。
人権擁護や食育、アレルギーへの理解、保護者支援……子どもの資質を高める以外にも、保育者の仕事は多岐にわたります。「不適切な保育」を起こさないようにすることもその一つ。府の保育士会は事例集を作り、現場の保育士らがそれをもとに語り合う研修をし、毎年事例を更新しています。保育者は常に自己研鑽に努めなければなりません。人材キャリアパスやパスポートを設けたことで、「そのためにも研修は大切だ」と意識づけができたと感じています。
2.保育に携わる方へのメッセージ
- 最後に保育に関わる方へのメッセージをお願いします。
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子どもの力は本当にすごいです。一人の人間として見て、尊重し、一緒に「面白いこと」を発見し、探求していってほしい。そう思っています。
中田先生がご所属の、京都府保育協会のHPです!↓
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中田純子さんのインタビュー記事【前編】はこちら