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みんなでパラリンピック・ブラインドサッカー体験会~児童養護施設「至誠学園」(東京都立川市)で開催

2020年に開かれる東京パラリンピックの正式種目、ブラインドサッカーに親しんでもらおうと、5月18日、東京都立川市の児童養護施設・至誠学園で体験会を催しました。五月晴れの天気に恵まれ、子どもとスタッフ約30人が園庭に集まりました。

講師は埼玉県を中心に活動する辻一幸選手と、日本ブラインドサッカー協会の髙山ゆずりさん。最初に辻選手が「視野はほぼ中心しか見えません。トイレットペーパーの芯からのぞいているように見えています」と自身の障がいを説明。小学生は指を丸めて中を覗き、「こんな感じかな」と見える風景の違いを体験する子もいました。続いて辻選手がシュートを披露すると拍手がわきました。

次は子どもたちの番です。まず全員にアイマスクが配られ、2人1組になって辻選手をお手本に準備体操をしました。アイマスクをつけた子は不安を感じている様子でしたが、ガイド役(アイマスクをつけていない)の子に「屈伸だよ」「右手を上げて」と声をかけてもらうと、次第に辻選手と同じ動きができるようになりました。アイマスクをつけて歩いたり、パスやドリブル、シュートなどにも挑戦。初めはうまく蹴ることのできなかった子もパスを出せるようになりました。中学生女子は「指示するときに鏡のようで左右が逆になっちゃった」とガイド役の難しさを語りました。動くことさえままならなかった子も、蹴るとシャカシャカと鳴るボールの音やガイドの声に耳を澄ませ、ブラインドサッカーを楽しみました。最後に「目が見えない人の大変さがわかった」「最初は難しかったけれど楽しかった。自分もできないことがあるのは一緒。障がいのある人を助けてあげたいなと思いました」と感想を述べました。

講師の髙山さんは「今日は目が見えない人について学んでもらいました。他にも耳が不自由な人、車いすに乗った人などいろいろな障がいがある人がいます。なかなか会う機会はないかもしれないけれど社会に出た時に出会うかもしれない。今日学んだことを忘れずに、何が手伝ってあげられるか、これからの生活で考えてください」。

そして辻選手からは「僕も児童養護施設出身です。僕には小さい頃からバスの運転手さんになりたいという夢がありました。実現できたのですが目の病気になってしまい途中で諦めました。皆さんも大きな夢を持って欲しいです。その中でスポーツだけでなく、絵を描いたり、勉強でも良いですから何か趣味を持つことが大事だと思います。つらい時や苦しい時に気分転換になるものを見つけてください。そして、ここで一緒に育った友達を大切にしてください」とメッセージを送りました。

ブラインドサッカーとは

ブラインドサッカーは視覚に障がいのある選手らが行う5人制のサッカーで、転がるとシャカシャカと音が鳴るボールを使います。全盲の選手は、光を感じられる人から全く感じない人まで差があるため、公平な条件でプレーできるよう、4人のフィールドプレイヤーはアイマスクを着用します。GKは晴眼か弱視の選手が務め、相手のゴール裏にはガイドと呼ばれる役割の人が「45度、6メートル、シュート!」などとゴールの位置やシュートのタイミングなどを声で伝えます。

またディフェンスはボールを持った選手に向かっていく際に、自分の存在を伝えるため「ボイ!」「ボイ!」(スペイン語で「行くぞ!」の意味)という声を出すルールがあります。フットサルとほぼ同じルールですが、目の見える人と見えない人が協力して行うスポーツであるため、コミュニケーションが大切なスポーツです。