これまでの活動
児童養護施設「聖園子供の家」(神奈川県藤沢市)でブラインドサッカー体験会を開催
2020年の東京オリンピックを前にパラスポーツの面白さを体験し、障害に対する理解を深めてもらおうと5月4日、神奈川県藤沢市の児童養護施設「聖園子供の家」を訪問、子どもやスタッフ約50人にパラリンピック正式種目のブラインドサッカーを体験してもらいました。
講師は日本代表キャプテンの川村怜(りょう)選手と日本ブラインドサッカー協会の小島雄登さん、髙山ゆずりさんの3人。
最初に全員にアイマスクが配られ、川村選手をお手本に準備体操をしました。2人1組になり、1人はアイマスクをつけ、もう1人はガイド役となって川村選手と同じ体操ができるように言葉で伝えていきます。アイマスクをつけた子らは「わかんない」「これであってる?」とはじめは戸惑う様子が見られました。ガイド役(見える)の子が「手は上にあげて」と触って教えてあげたり、「膝は曲げるんだよ」と声をかけると次第に短時間で川村選手と同じ動きができるようになりました。
次に川村選手がデモンストレーションで巧みなドリブルやパス、シュートを披露すると子どもたちから拍手が起こりました。
その後はグループに分かれ、「アイマスクをつけて歩く」「カラーコーンをゴールに見立ててシュートする」ことに挑戦しました。「見えない人の足元に何も言わずボールを置いてもわからないので"足の間に置くよ"とか"右足の前にボールを置いたよ"など声をかけてください」と髙山さんから説明がありました。約2時間のプログラムでしたが幼児から高校生まで、参加者全員がブラインドサッカーを楽しみました。
最後に川村選手から「みんなとブラインドサッカーができて楽しかったです。目が見えない人に対して体操のやり方を教えてあげたり、ゴールまで誘導して歩いたり、できないと思っていたことが皆で協力したからこそできました。素晴らしいことです。今日は目が見えない人について勉強しましたが、今後、皆さんが友だちと話す時にどんな声がけをしたら良いか、どんな伝え方をしたら親切かを考えながら、今日の体験を普段の生活の中で生かしてください」とメッセージが送られました。また聖園子供の家に川村選手からサインボールが贈呈されました。
終了後、野際良介施設長は「ブラインドサッカーを楽しみながら、学べたのではないかと思います。"言葉で伝えないといけない"という言葉が心に残ったようです。子どもたちが川村選手を気遣うシーンもあり、心の成長も感じました」と話しました。
ブラインドサッカーとは
ブラインドサッカーは視覚に障がいのある選手らが行う5人制のサッカーで、転がるとシャカシャカと音が鳴るボールを使います。全盲の選手は、光を感じられる人から全く感じない人まで差があるため、公平な条件でプレーできるよう、4人のフィールドプレイヤーはアイマスクを着用します。GKは晴眼か弱視の選手が務め、相手のゴール裏にはガイドと呼ばれる役割の人が「45度、6メートル、シュート!」などとゴールの位置やシュートのタイミングなどを声で伝えます。
またディフェンスはボールを持った選手に向かっていく際に、自分の存在を伝えるため「ボイ!」「ボイ!」(スペイン語で「行くぞ!」の意味)という声を出すルールがあります。フットサルとほぼ同じルールですが、目の見える人と見えない人が協力して行うスポーツであるため、コミュニケーションが大切なスポーツです。