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これまでの活動

「認知症カフェ運営講座」を開催しました

4月13日(土)、北海道滝川市の市農村環境改善センターで「認知症カフェ運営講座」を開催しました。

全国で急速に増えている「認知症カフェ」。一方で、継続への不安や今後の展開についての迷いが実践者から聞こえてくることもあります。

「認知症カフェ」を地域資源として発展させ、認知症のある人も暮らしやすい地域づくりにつなげていけるよう、当事業団では、カフェの運営のポイントや今後の展開について、認知症ケアにおける「認知症カフェ」の重要性を提唱している武地一・藤田医科大学教授の講演や、カフェ運営者による実践報告と参加者同士のグループディスカッションを内容としたワークショップを通して考える講座を全国を巡回し、地元の団体と共に開催しています。

滝川市での講座は、地元で活躍をしている、江部乙まちづくりコミュニティ行動隊女子部、滝川市地域包括支援センターの皆さんにご協力をいただき開催。北海道各地から、運営者や参加者としてカフェにかかわっている地域住民や介護・医療・行政関係者ら約140人が集まり、地域資源としての「認知症カフェ」の役割や、今後いかに継続し発展させていくかを考えました。

武地さんは、講演「認知症カフェを地域資源に~運営のポイントとこれから大切にしたいこと~」の中で、目的とする参加者に来てもらうための工夫や専門的支援とつなげる場となるための工夫などを紹介。カフェ開催にあたり、地域の中での「いろいろなコラボレーションが必要」といったことや、「専門職だけで行うのではなく、地域の人と一緒に実施していくことがポイント」と述べました。

ワークショップでは、滝川地区認知症の人と共に歩む家族の会「あけぼの会」の取り組みについて、同会会長の須田敏枝さんと滝川市地域包括支援センター副所長の相澤理佳子さんが報告。須田さんは「認知症カフェは、認知症のある人や家族が一緒に利用し、自分の話をじっくり聞いてくれる人や分かち合える仲間との出会いの居場所。私たちと話すことにより気持ちが楽になった、元気をもらうことができた、と言われるようなカフェにしていきたい」と話し、その中での、運営資金や関係機関の連携をどうしていくかなどの不安を抱えていることを話しました。

この、問題提起を受け、自分たちの活動を振り返り、今後の活動考えるグループセッションを行いました。これからの活動をどうしていきたいか、その実現のために何かできそうなことがあるか、6人1組のグループで意見交換をしていきました。

江部乙まちづくりコミュニティ行動隊女子部による実践報告「駅カフェを通して実現したいこと~これからの展望」では、無人駅である江部乙駅で月に1回開催している認知症カフェについて、同会の横山千鶴子さんが報告。地元の國學院短大の学生や小さな子どもを連れての親子での参加があることや、カフェからスタートし65歳以上の単身世帯が気軽に参加できる「地域食堂」を始めたことなどを紹介しました。カフェを通して、「世代交流」や「認知症になっても当たり前に参加できる」場をつくり、「住み続けたい安心感のある街づくり」を実現したいと述べました。

最後は、参加者全員で「理想の未来」をイメージし、その状況に近付くために何をしていくかを考えるワークショップ。グループごとに意見交換を行い、地域資源としての認知症カフェを運営するために何から行動していくのか、言葉で表しました。

仲間づくりや、地域への啓発、認知症のある当事者の活躍の場にすることなど、様々な「宣言」が出され、今後の活動への次の一歩へとつながっていく様子が感じられました。

昼休みには、江部乙まちづくりコミュニティ行動隊女子部による「出張駅カフェ」が開催されました。美味しいコーヒーと地元のシフォンケーキでひといきつける時間でした。

終了後、江部乙まちづくりコミュニティ行動隊女子部を中心に、周辺地域での「認知症カフェ交流会」の開催に向け、動き始めています。

認知症になっても地域の中でその人らしい生活が送れるように、今後も当事業団では「認知症カフェ」から出発した地域づくりに取り組んでいきます。