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朝日新聞厚生文化事業団トップページ 最新のお知らせ 遺贈・遺言セミナー「おひとりさまの老いじたく」(東京、大阪)

これまでの活動

遺贈・遺言セミナー「おひとりさまの老いじたく」(東京、大阪)

ひとり暮らしの方や、子どものいない夫婦の世帯を主な対象とした遺贈・遺言セミナー「おひとりさまの老いじたく」を、朝日新聞大阪本社(2017年10月28日、65人参加)と、東京本社(2018年2月27日、93人参加)で開きました。大阪会場の講師は、同セミナーでは初登壇となる弁護士の布施憲子さん。東京会場では前回同様、弁護士の中山二基子(ふきこ)さんが講師を務めました。

東京会場は、昨年10月に開催が予定されていましたが、あいにくの台風により延期。ようやく、この日にセミナーを実施することができました。

中山さんは、年をとるにつれて心配になることとして、①相続、②自分自身の葬儀やこれまでの入院費の支払いといった「死後の事務処理」、③認知症が出た時の対処という3点を挙げました。

20~30年くらい前までは遺言には主に相続のことが記されていましたが、近年では葬儀や納骨、老人ホームの居室の明け渡しなど、自分がこの世を去った後の事務手続きについて、遺言に記しておく人が増えたそうです。せっかく遺言を作っても、残した遺言が実現されなければ意味がありません。きちんと遺言が実行されるよう、信頼できる人を事前に遺言執行者に指定しておいたり、財産を自分で管理できなくなった時に備えて任意後見契約やホームロイヤー契約などを行っておく、などのアドバイスがありました。

また認知症になった場合への備えとして、財産などを管理してくれる人を、自分に判断能力があるうちに決めておく「任意後見制度」についても説明がありました。この制度を事前に用意していた人のうち、実際に認知症になって任意後見がスタートされるのは全体の2割程度だそうです。残り8割の人は、最期まで自分で財産管理などを行ったまま、一生を終えられるそうです。

90分の講演の後は、質問タイムです。「友人の子どもに財産を譲るためにどのような方法があるか」といった質問や「公正証書遺言には有効期限があるか」との質問が出たほか、「完全なるおひとりさま」が入院などに際して保証人を求められた場合、どのように対応したらよいかといった相談も寄せられ、中山先生の生きた経験に基づく回答に、参加者は最後まで聴き入っていました。

セミナー修了後に寄せられたアンケートでは、「とてもわかりやすかった」、「また開催してほしい」といった感想のほか、「任意後見人やホームロイヤーによる身元保証について詳しく聞きたい」、「公正証書遺言の具体的な作成過程を知りたい」といった要望も上がりました。今後のセミナーに生かしていきたいと思います。

大阪会場では弁護士の布施憲子先生が、遺言書がなくて残された家族が困った事例など、具体的な実例を多く交えて講演をしました。「任意後見人はどうやって探すのか」という質問には、弁護士会などを通すことや、インターネットを使って調べることを薦め、自分の目で見て自分で選ぶことが大切だと話しました。参加者からは、「わかりやすく参考になった」という感想が寄せられました。