~支え合う安心社会の実現に向けて~
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「認知症になっても安心して暮らせる社会をめざして」

「ドラえもん」の声で知られる声優の大山のぶ代さんが認知症になりました。その夫で俳優の砂川啓介さんが、大山さんの介護体験を語る講演会「認知症になっても安心して暮らせる社会をめざして」を、東京都港区の日本消防会館ニッショーホールで6月25日(土)に開催しました。同様に、砂川さんと山口大学神経内科学准教授の川井元晴さんとの対談と講演会を、大阪市西区の大阪YMCA会館ホールで6月5日にも開きました。

いずれも京都で来年4月に開催される、認知症のケアや治療などに関する「ADI国際会議」の啓発を兼ねた講演会で、砂川さんは自分の娘のような状態となった大山さんに対して「愛を感じています」と話していました。

大山さんには元々糖尿病の持病があり、ヘビースモーカーでもありました。2008年に脳梗塞で倒れ、慶応病院に運ばれました。入院した時点では元気だったのですが、医師からは「今晩、たぶんまた飛びます」と忠告され、翌日砂川さんが病院に面会に行った時には、大山さんは全くしゃべれなくなっており、自分が誰だかも分からなくなっていました。

しかし、リハビリの訓練を受けて脳梗塞はかなり回復し、テレビにも再び出られるようにまで回復しました。ですがある時、また元に戻ってしまったのではと感じるようになり、改めて病院で診てもらったところアルツハイマー型認知症になっていると2012年に診断されました。

砂川さんにとって、この診断は大変にショックだったそうです。「俺のかみさんが、認知症になるわけがない。人に言うまい。話すまい」と心に決め、周囲にも隠していました。しかし、隠しているということがストレスになり帯状疱疹になってしまいました。

そんな状態からカミングアウトするきっかけになったは、親友の毒まむし三太夫さんのアドバイスでした。「1人で介護なんてできるわけないんだから。公表しちゃったほうがいいよ。気が楽になるから」と強く勧められ、人気ラジオ番組だった「大沢悠里のゆうゆうワイド」で、大山さんの認知症を初めて公表し、大きな反響を呼びました。砂川さんは大山さんの病状を公表することで「パッシングを心配していたが、ほっとした」そうです。

講演会の後半は「認知症の人と家族の会」副代表で、川崎幸クリニック院長の杉山孝博さんとの対談で、会場から出た質問にも答えました。

会場からは「認知症の母親に対し暴言を吐く高齢の父に、どう対処すればいいのか」、「怒ってはいけないと思いつつも怒ってしまう」といった質問が寄せられ、杉山さんは「最終的には、誰でも穏やかな介護ができるようになるが、問題は混乱する過渡期をどう短くするか」だと述べ、「相手のプライドを大事にする」といった認知症の人への対処方法を理解する必要性を説きました。