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講演会「自分らしい人生の最終章とは?」を福岡で開催しました

9月26日、福岡市の福岡朝日ビルで「自分らしい人生の最終章とは?」をテーマに、医師で作家の久坂部羊(くさかべ・よう)さんが、87歳で亡くなった父親の看取(みと)りを通して、死を迎える心構えを話しました。

久坂部さんは大阪大学医学部を卒業後、勤務医、外務医療官を経て、2003年に作家デビュー。「悪医」(朝日新聞出版)で日本医療大賞を受賞しています。

30代で糖尿病を発症した父親はまじめに治療に取り組みますが、症状は好転しません。あげく「食事制限がストレスになって数値が下がらない!」と勝手な結論を導き、「(いっそ)検査をしなければ怖くない」と食事療法を放棄。85歳で前立腺がんを告げられると「これで長生きせんですむ」と言ってしまう父親。治療を拒否してとうとう13年に87歳で亡くなった父親と、看病する自分とのやりとりをユーモラスに語りました。

最先端の医療より自分の感覚を信じ、闘病生活を続ける父親と、それをすべて受け入れ在宅看護を続ける久坂部さん。家族の死を目の当たりにしたら、皆うろたえ、動揺し、病院へ、となります。

「自然に死んでいくことはある程度苦しいが、医療の手を加えるとその苦しみは長くなります。心の準備をして、なるようにしかならない」という気持ちで、「親が望むことをしてあげるのが一番の親孝行」「死を受け入れたら気持ちは穏やかになり、心配もなくなり、感謝の気持ちだけになります」と締めくくりました。