これまでの活動
講演会「認知症ケアとダンスセラピー」
ダンスの楽しさを大きな動作で表現するヘザーさん
最後は会場全体が一つの輪になって踊りました。
超高齢社会に入ったわが国が直面する高齢者の問題は根が深く多岐におよびます。市民の目線に立ち高齢期の問題を考え、情報の提供をしていこうと、学者や医療、看護、介護、福祉の専門家らが「高齢期の豊かなくらし研究会」(佐瀬美恵子代表)を、2013年7月に立ち上げました。今年の第1回を、6月8日朝日新聞アサコムホールで、認知症のケアとして注目を集めている「ダンスセラピー」を取り上げ、当事業団と共催で講演会を開催し、入場者100人が集いました。
まず、高齢者のケアを研究する関西医科大講師の三宅眞理さんが、オーストラリアの認知症ケアの実情を説明。日本と同様、高齢化が進むオーストラリアでは、キャンペーンを行い、積極的に認知症の予防に取り組んでいるとのこと。また高齢者や障害者の生活の質を高めるための専門職「ダイバージョナルセラピスト(DT)」(気晴らし療法士)が施設に配置され、利用者の症状や趣味、習慣などに応じて、レクリエーションや創作活動、回想などを組み合わせたプログラムを行っているとのこと。その中で、認知症の当事者の主体的な活動として注目を集めているのが「ダンスセラピー」。心と身体、感覚などの総合的な体験を通じて、健康と自立度を高め、人とのコミュニケーションをはかるためのもっとも効果的な手段のようです。
第2部では、オリジナル「いっしょに踊ろう」を、作曲者でもある奥野勝利さんの伴奏で、オーストラリアのダンスムーブメントセラピー協会のヘザー・ヒルさんのユーモアあふれる指導のもと、入場者も楽しく踊りました。
この曲は、三宅さんらがオーストラリアの専門家との交流研究で作ったもの。ゆったりとした約2分半の曲に合わせ、社交ダンス、数人で踊るグループダンス、手話の3種類の動きがあり、ステップなどが難しい人は、音を感じて好きなように体を動かせばよいとのこと。「認知症があってもダンスで自分を表現し、人とのつながりをもち続け、いきいきと生きることが大切」とヘザーさんは会を締めくくりました。