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これまでの活動

シンポジウム「子どもシェルター~居場所のない子どもたち~」を開催しました

シンポジウム「子どもシェルター~居場所のない子どもたち~」を1月25日(土)に千葉市稲毛区の千葉大学けやき会館大ホールで開催し、300人が参加しました。
子どもシェルターは、虐待などにより家庭で暮らすことのできない10代後半の子どもを一時的に保護する施設です。虐待する親などから本人の意思で分離された子どもは、シェルターに常駐する職員や弁護士らの支援を受けます。現在、東京や京都、和歌山など9都道府県で運営されています。
こうした子どもシェルターを千葉県内に設立する準備を進めている子どもセンター帆希(ほまれ)と朝日新聞厚生文化事業団が協働し、このシンポジウムを行いました。

オープニングで、作家の落合恵子さんが「私たちにできること」と題して講演をした後、子どもシェルター帆希事務局長の安井飛鳥さんが登壇。「助けを求めても、助けてくれる場所が無く、そうした大人もいない子どもたちは、自己肯定感や他者への信頼を失ってしまうでしょう。自傷や犯罪に至ってしまうこともあるでしょう。」「こうした今まさに助けが必要な子どもたちのためのシェルターを作りたい」と語り、居場所のない子どもたちが置かれている状況やシェルターの必要性を解説しました。

左上から時計回りにコーディネーターの中溝明子さん、坪井節子さん、西村博行さん、高橋克己さん

続いて行ったパネルディスカッションでは、千葉県中央児童相談所所長の西村博行さんが、2012年度に全国の児童相談所が対応した虐待相談の件数が66,701件であり、千葉県はワースト3位の3,961件に上っているなどのデータを紹介しながら、「非行で一時保護に至った子どもの多くは、過去にネグレクトを受けているなど十分な養育をされていない」と子どもたちの実態を解説しました。

それを受けて、児童養護施設はぐくみの杜君津施設長高橋克己さんは、シェルターを必要とする子どもたちはそこに至るまでに長く傷つけられ、通常の家庭生活などを経験していないことを解説し、子どもたちが自立するためには、シェルターで普通の生活をすることや通常の関係を他人と持つことが大切と話しました。

日本で初めての子どもシェルター「カリヨン子どもの家」などを東京都で運営する坪井節子さん(カリヨン子どもセンター理事長)は、「子どもたちは、私たちが経験したことの無いほどの辛さを経験しています」と述べ、支援の必要性、留意点を解説するとともに、支援者一人にできることには限界があると指摘。そのうえで、「私たちにできることは、その子を一人ぼっちにしないこと」と、関係者が一体となって子どもが安心できる環境を整える意義を訴えました。