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これまでの活動

自閉症カンファレンスに1200人が参加

「自閉症カンファレンス NIPPON 2013」(自閉症カンファレンス NIPPON実行委員会、朝日新聞厚生文化事業団主催)を8月24、25の両日、東京都新宿区の早稲田大学で開催、全国から福祉・教育・医療関係者、家族ら約1200人が参加しました。自閉症の人たちへの支援の会議としては国内最大級で、今回が12回目になりました。

初日はカンファレンス実行委員長の佐々木正美・川崎医療福祉大学特任教授が開会宣言したあと、「自閉症とASD(自閉症スペクトラム)-あたらしい診断の指針」と題して、よこはま発達クリニック院長の内山登紀夫・福島大学大学院教授と米国・ノースカロライナ大学のTEACCH(ティーチ)部元部長、ゲーリー・メジボフ教授が、米精神医学会の診断の手引(DSM)の今年5月の改訂(DSM-5)で、重い自閉症からアスペルガー症候群や高機能自閉症までをASD(自閉症スペクトラム)として連続的に捉えるようになった影響などについて解説しました。

午後からは、メジボフ教授が「自閉症支援に最もたいせつなこと」の演題で3時間にわたって講演。大切にしている言葉を軸に、自閉症支援の歩みや考え方を語りました。

2日目は「教育と就労と自閉症のもんだい」をテーマにパネルディスカッションがあり、高等教育を受けた人が就労で困っている実態と支援の取り組みについて、支援の専門家3人が報告、課題を話し合いました。

午後からは、佐々木教授が「自閉症の人たちと出会って」と題して、自身の半世紀の取り組みを振り返りながら、「自閉症の人が自閉症のまま、学び、働き、適応できる環境をつくる」意義を強調しました。メジボフ教授が「TEACCHプログラム・コアバリュー2013」と題して、「自閉症の違いを文化として理解し、受け入れ、好きになり、敬意を持つこと」「自閉症スペクトラムの人や家族の生活を変えるようなスキル、行動、可能性の拡大を目指すこと」などの重要性を指摘して、カンファレンスを締めくくりました。

また、3分科会合計15の日本国内の実践報告や、各地の活動を報告するポスターセッション、入門解説講座「基礎からの構造化」、「基礎からの評価と自立課題」、特別講座「医療サポートセミナー」、「コミュニケーション機器セミナー」のほか、9月に頒布を開始する予定のDVD「自閉症の人が求める支援」の上映なども行われました。

自閉症の人たちへの支援プログラムとして根付いた日本の「TEACCHプログラム」の実質的な実践の始まりは、1989年にプログラムの創始者、故エリック・ショプラー教授と3人のトレーナーを日本に招き、当事業団などが開いたトレーニングセミナーです。この考え方を柱に、自閉症の人への理解を深めようと集った実践者と有志が中心になって2002年から毎年開催してきました。