これまでの活動
「にもにもフェス」誰もが希望する暮らしを。
2025年12月6日(土)、安満遺跡公園(大阪府高槻市)にて、「にもにもフェス~わたしにもあなたにも~」を開催しました。
これは、障害の有無にかかわらず、誰もが望んだ場所で、自分らしく、心豊かに暮らせる地域社会のあり方を「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」(以下「にも包括」)を切り口に、地域の皆さんで考えていくことを目的にしたもので、高槻市で精神保健福祉の向上を目指して活動する有志グループらとの共催により実現しました。
フェスは4つの会場で実施し、各会場合わせて延べ400人程に足をお運びいただきました。
ワークショップ:「わたしにも・あなたにも、楽しい街を描こう!」
「体験する」を目的にした会場では、障がいがあってもなくても暮らしやすい、楽しい高槻の街を参加者とともに描いていくワークショップを実施。
フェスに先立ち、11月には、プレワークショップとして、高槻地域生活支援センターオアシスのメンバーが、「こうなったらいいな」という希望を書き出しました。「障がい手帳がもっと使える町」「仕事内容をまとめた書類を用意してくれる職場があるとうれしい」などの声があがりました。
今回、アートを担当した薮内舞さん(抽象作家)が、全長7メートルにおよぶ、高槻の街をイメージした風景を描き、そこに、皆さんの「声」を加えていきました。
フェス当日は、参加者が描いた色とりどりのメッセージカードが、会場を鮮やかに彩りました。そこには、子どもたちの無邪気な願いから、高齢者や障害のある方の切実な希望まで、多種多様な視点からの「理想の街」への想いが溢れていました。
「こうなったらいいな」という小さな声が重なり合い、目指すべき街の姿が少しずつ可視化されていく、希望に満ちた時間となりました。
参加いただいた皆さんからの声の一部をご紹介します。
活躍の場
- 誰とでも仲よく働けるトコがあったらイイナ!
- 安心安全に楽しく働ける職場と出会えたら幸せ♡お給料もイイと幸せ
- 自分の好き!!を収入にできる作業所があるといいな
- 働いて、働いて、働いて、働いて、とか強制されないで、働けなくても、人間らしく生きていける方がいい!
- 僕は手話を学んでいるので、きこえる人ときこえない人がなかよく働ける街がいっぱいあるといいなぁ
- 障がいのある人もない人も、みんなが活躍できる街へ!!
医療・福祉
- 困った時にすぐかけつけてくれるサービスがあったらいいな。
- 土・日・祝の支援機関が少なくなる時に調子を崩しやすいです。土・日・祝もやっている地域活動支援センターやデイケア、病院があって欲しい。
- 何か困った事があると、いつでもLineできるツールがあるとイイな
居場所・コミュニティ
- 家以外で安心できる居場所ができたらいいなぁ
- さみしい時やイライラしちゃった時ふらっと行って、誰かと話せるような場所があったらいいな。赤ちゃんからうちのおばあちゃんまでいけるような
- フラット立ち寄れるような共有スペースができたらいいな
- ご近所さんが助け合って暮らせる支えあいの街
- 「大丈夫?」とお互い声をかけあえる社会
- 人種、年齢、性別、障がいの有無など、壁を取り払ってみんなが気持ちよく生きやすい暮らしができるスペースを作りたい…✨
知ってほしい
- 精神障害はいつ誰がなっても不思議ではない時代だと思います。精神障害のある人とふれ合いながら勉強してもらう機会を義務教育のうちからもってもらい、偏見を減らせる社会をつくって
- 障害のある人をもっと理解してほしい
- 障害は個性ととらえ、困っている人がいたら、身内に接するように声かけしたい。みんながそうできますように。
上映会&トークセッション:地域の枠を超えて語り合う「希望」
「知る」をテーマにした会場では、映画『生きて、生きて、生きろ。』の上映会と、全国各地で実践を積み重ねるゲストをお招きしたトークセッションを行いました。
パネリストとして、米倉一磨さん(福島県南相馬市、こころのケアセンター)、宮崎宏興さん(兵庫県たつの市、いねいぶる)、古橋陽介さん(東京都、江戸川区相談支援連絡協議会)にご登壇いただき、それぞれの地域での活動についてご紹介いただきました。
こころのケアセンター
米倉一磨 さん(福島県南相馬市)
米倉さんは、福島県南相馬市(福島第一原発から20km〜30km圏内)という、精神科病床が日本平均の約5分の1程度しかなく、超高齢化が急速に進む厳しい地域で、支援活動を行っています。
この状況下で、「人に関心を向ける」ことが支援の基本であると述べました。
従来のカウンセリングや傾聴といった「待つ支援」ではなく、訪問し、介入する「能動的な支援」が特徴です。特に、SOSを出せない、あるいは自分を責め続けて他人の力を拒絶するような人に対して、「ただ一緒にいるだけ」というアプローチを徹底した点が印象的でした。
さらに、支援の対象はご家族も含まれ、ご家族が支援の仲間になってくれることがあるため、一緒に巻き込みながら支援を継続することの重要性が示されました。
いねいぶる
宮崎宏興 さん(兵庫県たつの市)
宮崎さんは、障害福祉サービスと市民活動の両輪で活動を展開しています。孤立を防ぎ、その人にとって必要な社会活動を創造するためには、様々な人たちが同じ時間や場所を過ごす中で、お互いの日常や心に触れ、理解を深めていくことが重要だと強調しました。
特に、活動を進める上で、「バリアとは何か」を捉え直し、自分たちが知っていることだけで判断せず、他者の事情を想像する力がバリアを乗り越える鍵であると述べました。
江戸川区相談支援連絡協議会
古橋陽介さん(東京都江戸川区)
古橋さんは、東京都江戸川区の相談支援専門員として、区内で入院病床がないという地域特性を持つ中 、「にも包括」の推進に携わっています。
江戸川区の「にも包括」の目標は、「誰もが精神障害を安心して自分づくりを進めていく」ための環境整備です。
区外に長期入院している300人以上の人たちの「地域移行支援」を推進することを活動の大きな切り口としました 。これは単に退院を促すだけでなく、入院者が戻れる地域を創ることは、「自分が明日病気になるかもしれない」という区民全体にとって暮らしやすさに繋がる、という考えに基づいています。
印象的な取り組みは、地域課題の発見と解決を目指すためのワーキンググループの設置です。普及啓発、 医療連携、 住まう、ピアサポートの4つのワーキンググループによって、「にも包括」を進めています。これらの活動を通じて、退院支援の数だけでなく、そこから見えてくる地域の課題(支援者の不足、社会資源の不足など)に注目し、持続可能な仕組みを作り上げていく必要性を強調しました。
福島、兵庫、東京。それぞれの地域が抱える課題は異なりますが、共通していたのは「精神障害の有無に関わらず、誰もが望む場所で、その人らしく暮らし続けること」への情熱でした。参加者の皆さまも、現場でのリアルな言葉に深く頷き、熱心に耳を傾けていました。
野外イベント:多世代の笑顔が交差したマルシェ
屋外エリアでは、福祉事業所の製品販売やパフォーマンスステージを開催しました。 小さなお子様からご高齢の方まで、公園を訪れた多くの方々がふらりと立ち寄り、自然な形で交流が生まれる様子は、私たちが理想とする「垣根のない日常」そのものでした。
対話から「動き出す」地域を目指して
今回のフェスを通じて、改めて「対話し続けること」の価値を再確認いたしました。メンタルヘルスの課題を「自分ごと」として捉え、立場を超えて手を取り合える地域社会を目指し、これからも皆さまとともに連携の輪を広げてまいります。