これまでの活動
【開催報告】みやぎセミナー「考えよう!今と未来」
――当事者の「等身大の言葉」で、子どもたちの未来への一歩につなげる――
2026年2月11日、宮城県仙台市の児童養護施設「ラ・サール・ホーム」において、ぴあ応援団による出張シェアセミナーを開催しました。本セミナーは、みやぎ里親支援センター「けやき」さんよりご依頼をいただき、仙台市内の児童養護施設、里親家庭が集まり、中高生17名、養育者・支援者ら37名計54名の参加がありました。福島県内の児童養護施設からの参加もありました。
1. プログラムの概要
全国各地から集まった6名の応援メンバーが登壇しました。
パネルディスカッション
応援メンバーは 始めにクイズで中高生の興味を惹き、進路選択、奨学金の活用、一人暮らしの失敗談など様々なトークを展開しました。その一部を紹介します。
- ネットの情報だけで判断せず、オープンキャンパスなど実際に大学へ足を運び自分の目で見て体験し、納得できる環境を作っていくことが大切。
- 住まいの選択肢の1つとして費用が安く、孤独を感じにくいというメリットのある学生寮もおすすめ。
- 学費は高いけれど、授業料減免制度や民間団体の奨学金を組み合わせることで、自己負担を抑えて学生生活をすることもできる。
メンバーは最後に「どんな道を選んでも、それを正解にしていく方法はたくさんある」と述べ、失敗も後で「笑い話」にできるから大丈夫だと、中高生たちの背中を押しました。
グループワーク
中高生は将来への不安や大人に望むこと、養育者・支援者はパネルディスカッションを通して疑問に思ったことや課題などについて本音で話し合いが行われました。中高生の各グループに応援メンバーがそれぞれ1名ずつ入り、中高生から挙げられた様々な不安や声に耳を傾けました。
中高生の想い
- 希望する進路に進学できるのか
- 学校の先生とうまく関わっていけるか
- 一人暮らしをしながら、アルバイトと学業を自分の力で両立させていけるのか
- 生活費や水道光熱費などの具体的なやりくり、奨学金の選択肢の複雑さが心配
- 親との関わり方や、施設の職員が辞めてしまうことで、これまで築いてきた信頼関係がなくなってしまうことが不安
最後の質疑応答では、養育者・支援者から寄せられた「自分に関心が持てないときにどうしていたか」の質問に対し、「過去を振り返り、好きだったことや嬉しかったことに注目してみると意外と自分の関心を見つけることができた」と応援メンバーからの経験談も語られました。
2. 現場から寄せられた声
各参加者から、それぞれの想いが語られました。
参加した中高生
大人には、仕事としてだけでなく、1対1で向き合い、子どもが相談できる時間を大切にしてほしいです。
今回のセミナーに行くのは正直不安でした。私は自己発言が苦手で、人の前に立つと頭が真っ白になったり、声が出なくなったりして、人一倍自己紹介や、意見共有が嫌いでした。ただ、今回のセミナーの話では、一人ひとりの悩みがあって「ああ、自分だけじゃないんだ」と少しの安心感が出てきました。
進学についてや将来について、私は今、中学3年生なので、考える時間になり、とてもいい時間を過ごすことができてよかったです。また、このような機会があれば来たいと思いました。
養育者・支援者
ぴあ応援団の言葉には『芯』があります。大人の思いを押し付けるのではなく、子どもの目線に立って信じて見守ることの重要性を再認識しました。
当事者の生の声を聴く機会は都市部に偏っており、宮城県内でも「東京などへ行かなければロールモデルに会えない」という状況が10年以上続いていました。今回、宮城県でセミナーが開催されたことは社会的養護の大きな一歩です。
子どもが何に困っているか大人に説明できない状態や、支援者の熱意と子どもの望みが乖離する「ズレ」を解消するための対話の場が必要だと思いました。
「けやき」職員さん
子どもたちは守られる存在ですが、彼ら自身が持つ力の強さを再確認しました。
『チカラをあわせれば ワタシタチは もっと 強くなれる‼』という言葉のように、みんなで取り組めば大きな力になると確信しています。これからもこの繋がりを大きくしていきたいです。また、ぜひセミナーを開催したいです。
ぴあ応援団メンバー
対面だからこそ、オンラインでは引き出せなかった子どもたちの本音に触れられ、中高生にとっても応援メンバーにとっても貴重な経験になったと思います。
自身の将来像がわからない、または探し方がわからない子どもたちのアプローチをどうしていくべきかという課題があると感じました。
地方ではこういったセミナーが少ないとの話を聞き、今後もこの活動を続けていきたいと思いました。
グループワークを通じ、最初は「思い浮かばない」と言っていた子どもたちが、対話が進むにつれて笑顔になり、「実はあれがしたい」「ここが不安」と少しずつ心を開いて本音を話してくれる過程に、大きなやりがいを感じました。
3. 今後の課題と展望
ぴあ応援団は本セミナーを通して、新たな課題を発見しました。
中高生の想い
1. 「届かない層」へのリーチ
自身の将来像を探し途中でセミナーへ参加していない子どもたちへどのように声を届けるか
2. 継続的な繋がり
退所後も「いつでも帰れる場所」や「頼れる仲間」がいると実感し続けられる環境の整備や仕組みを考える
私たちは今回の経験を活かし、現場の課題や新たな挑戦に着実に取り組むとともに、今後も各地での活動を活発に継続してまいります。
結びに本セミナーの開催にあたり、企画から広報、当日の運営まで多岐にわたりご尽力いただいたみやぎ里親支援センター「けやき」様 そして、会場の提供や温かい受け入れ体制を整えてくださった児童養護施設「ラ・サール・ホーム」様 へ心より感謝申し上げます。