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朝日新聞厚生文化事業団トップページ 最新のお知らせ 社会的養護経験者が語り合い、未来を拓く「ぴあサロン」を開きました

これまでの活動

社会的養護経験者が語り合い、未来を拓く「ぴあサロン」を開きました

ぴあ応援団では、社会的養護(児童養護施設や里親家庭など)を経験した若者たちが、互いの経験を分かち合い、心の支えとなる「ピアサポート」活動を展開しています。

このたび、当事者による当事者のためのオンライン交流会「ぴあサロン」を2日間にわたり開催しました。

1. サロンの概要とピアサポートの意義

「ぴあサロン」は、過去の経験を自己理解につなげ、未来への活力を得るための、安全な対話の場として企画されました。今回のサロンには、社会的養護を経験した若者、のべ13人が参加しました。

開催日時:2025年11月20日 19:00~21:30、11月22日 14:00~16:30

社会的養護を経験した若者は、頼れる人が少ない中での自立や、過去の経験からくる周囲との違いに悩むなど、孤立しやすい状況におかれてしまうことがあります。

そこで、当事者同士が繋がり、安心して楽しく話し合い、未来に進む活力を得るために、「ぴあサロン」を開催しました。

参加者は「ぴあ応援団」のメンバーの他、3人の方が初めて一般参加してくれました。

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2. 信頼を基盤としたプログラム:安心して語り合える空間の構築

参加者が安心して本音を語れるよう、冒頭で「約束事」を確認しました。

  1. 話したくないことはパスする
  2. プライバシーを徹底的に保護する
  3. 他者の意見を否定しない、押し付けない

こうして安全な場をつくることは、ぴあ応援団の活動の基盤になっています。

3. プログラムで得られた自己理解と気づき

ぴあサロンでは、参加者同士の距離を縮めるアイスブレイクから、それぞれの生い立ちを安全な範囲で振り返るワークなどを実施しました。

すべてのプログラムは2カ月以上をかけて、運営メンバーで検討を重ねてきました。

プログラム/共通点ビンゴ:アイスブレイク

好きな食べ物や興味を共有するアイスブレイクを通じて、すぐに参加者間の共通点や親近感が生まれました。例えば、受験時に施設の園長夫人から高級チョコレートをもらったエピソードや、大谷翔平選手の記事を切り抜いてファイルに保管している話など、個人の興味や経験にまつわるエピソードが共有されました。

プログラム/ノアの箱舟:~人生を支える「大切なもの」~

サバイバルに必要な食料ではなく、人生で大切にしてきた精神的な要素を含む「大切なもの」を船に乗せるというテーマで、何を選ぶかとその理由を話し合いました。

≪参加者のことばから≫

  • 「弟と妹の存在」が責任感や成長を促し、困難を乗り越える力になった。
  • 「愛嬌と素直さ」を「武器」に、人から優しくしてもらい、生き延びてきた。
  • 「出会いとつながり」が生きる糧であり、人とのかかわりをこれからも大切にしていきたい。
  • 自分の大切なものにあらためて気がついた。

プログラム/人生のロードマップ:~あのときのこと~

参加者は、自分の人生を川に例えて描き、転機や支えとなった出来事を紹介しました。

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ファシリテーターを担った応援メンバーが、参加者に紹介した自身の「人生の川」。こちらを参考に、参加者はそれぞれの人生のロードマップを描いていきました。

≪参加者のことばから≫

  • 幼少期に周りの目を強く気にするようになり、施設入所後も実家と施設の両方で安心できる場所がないと感じていた。
  • 里親家庭を転々とした後に児童養護施設で初めて温かさを感じ、「景色がきれいだな」「お花がきれいだな」と感じられるようになった。
  • もともとの家族を大切に思う気持ちから、里親家庭でどこまでその家族になってよいのか分からず、元の家族に申し訳ない気持ちになってしまった。
  • 施設の先輩が自死した出来事が、自身を深く見つめ直し、考えを転換するターニングポイントになった経験。

4. いろいろな思い

サロンの終盤では、参加者同士で感情を共有しました。

≪参加者のことばから≫

  • 日常ではなかなか言わないことも言えてスッキリした。
  • 思いを話すことができて、自分が強くなれたかな、と感じた。
  • 思いが共有できて、胸熱くなっちゃいました!
  • 普段は家族の話や過去を振り返ることを避けていたけれど、正直に自分のことを素直に話すことができたのは、新しい経験で、すごい貴重な体験だった。
  • 他の場所で施設出身だと話すと同情されることが多かったが、このサロンでは「施設に行って、どれだけ温かかったか」という肯定的な経験を話すことができ、それがとても嬉しかった。

5. 未来への展望:~未来へ~

参加者は、過去の経験を振り返りつつ、それぞれの目標を共有しました。

≪参加者のことばから≫

  • 措置延長を受けながら大学に通っているけれど、措置延長を抜けて自費で一人暮らしの実現を目指していきたい。
  • 将来は、社会福祉士として児童養護施設や児童相談所で子どもの生活支援に携わりたいという目標がある。
  • プログラマーとして人の役に立つアプリを作りたい。
  • 建築士として、施設などの設計に携わりたい。
  • 海外で日本語教師として発展途上国の子どもたちと交流したい。

おわりに

「ぴあサロン」は、未来を前向きに捉え、自己を肯定するための場です。ここでは、一人ひとりの経験は「大変だったこと」として同情されるのではなく、「あなた自身を形作ってきた力」として肯定的に受け止められます。

普段、他人に話しにくい胸の内を語り、心を軽くして、「自分が強くなれた」と感じられる貴重な体験を社会的養護を経験した若者たちと共有していくぴあサロンを、今後も開催していきます。

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前回は、過去や今の自分の感情を粘土と折り紙で表現する「心のお弁当箱づくり」や、心の支えになっているものを思い返しながら未来を考えるコラージュ「みらいレシピ」を実施。応援メンバーがプログラムの企画や準備を行っています。

主催:ぴあ応援団シェアチーム、協力:朝日新聞厚生文化事業団