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これまでの活動

「里親制度啓発トークイベント」(横浜市主催)で、応援メンバーがお話をさせていただきました

出逢いから希望に変わる力に

2025年10月5日(日)、横浜市役所にて里親制度啓発トークイベント「出逢い〜ココから始まる里親家庭の物語〜」(主催:横浜市、共催:フォスタリング機関「さくらみらい」)が開催されました。里親家庭で暮らす子どもと家族の「出逢い」に思いを寄せるイベントで、里親家庭の風景写真を展示した「フォスター写真展」や個別相談ブースも設けられました。

トークセッションでは、横浜市内で里親をされているご夫妻や里親支援専門相談員とともに里親家庭で暮らした経験を持つ「ぴあ応援団」メンバー2名が登壇し、自身の経験を語りました。

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自立への道筋で見つけた「全力で生きる」

横浜市で育ったYさん(茨城県在住・20際・大学3年生)は、乳児院を経て、小学3年生まで児童養護施設で暮らしていました。その後、里親家庭に引き取られました。里親さんと出逢ってよかったことについて問われると、「里親さんに出逢えたこと自体がよかった。気軽に相談できる人がいる、やりたいことを応援してくれる。」と語りました。

里親さんとの生活の中で、自立というテーマを具体的に考え、コロナ禍でも一人暮らしに向けて準備を進めてきました。過去の生い立ちを整理するプロセスを経て、未来へ向かう強い決意を固めました。

「過去は変えられないので、それだったら全力で生きるっていう気持ちいっぱいです。」

さらに、家族について問われた際には、「繋がりが最後までずっと切れないこと」「安心して帰れる場所を提供してくれること」だと答えています。

「焦り」の時期を越えて見つけた「準備期間」

Aさん(東京都在住・19歳・大学1年生)は中学3年生という、進路への焦燥感の中で里親家庭との「出逢い」がありました。当時の心境と、時を経て変化した受け止め方を語ってくれました。

「自分の行き先が決まらなくて、とても焦っている気持ちがありました。でも次の段階に進む準備期間だったのかなと思います。」

一時保護所での半年間を振り返り、当時は「焦り」が多かったものの、今では「自分の気持ちを整えたり、そういう意味でちょうどいい期間だった」と肯定的に捉えています。この前向きな変化は、里親さんとの「出逢い」がもたらした「安心できる環境」で「自分で明るくポジティブに考える時間が取れた」ことによるものです。

また、進路を考える中で、将来、実母と一緒に暮らせるようにしなければならないのかと一人で悩んだ時期がありました。その際、里親さんから「自分の人生なんだから、そんなこと考えなくていいよ」と言われたことが、自分の人生を生きるという決意を固めるきっかけになりました。過去の経験や家族に対する思いを、未来へ向けた力に変えることができたと話しました。

経験を未来の子どものために

今回のトークイベントは、二人にとって、自身を振り返る機会となったと同時に、未来の子どもたちのために経験を役立てたいという日ごろからの思いを実現する場にもなりました。

Aさんは、里親制度に興味を持つ方々へ向けて、「当時の私みたいに自分の行き先とか決まらなくて不安な子が今もいるんじゃないかなと思います。もし興味があったら里親さんになってくれたら嬉しいなと思います」と、メッセージを伝えました。彼らのように、過去の経験を公の場で語る活動は、社会的養護の現状を伝え、新しい「出逢い」を願う未来の子どもたちのための大きな力となると、「ぴあ応援団」は考えています。

今後ともぴあ応援団の活動に関心をお寄せいただけましたら幸いです。

最後に、このような貴重な機会をくださった横浜市やさくらみらいの皆さまに、心より感謝申し上げます。

*朝日新聞厚生文化事業団は、ぴあ応援団の活動をサポートしています。