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「ゆうゆうビジット」玉川奈々福さんと広沢美舟さんによる浪曲で施設訪問
ハンセン病の元患者らが暮らす「国立療養所栗生(くりう)楽泉園」(群馬県草津町)で7月3日、浪曲師の玉川奈々福さんと曲師(三味線)の広沢美舟さんが訪問し浪曲「仙台の鬼夫婦」を披露しました。
戦後、ハンセン病は特効薬が普及して治る病気になりましたが、1996年に「らい予防法」が廃止されるまで国は強制的に隔離政策を続けていました。入所者の皆さんは「らい予防法」廃止後も後遺症による障がいがあったり、高齢化が進み、なかなか外出することは難しいのが現状です。そんななか、同園の歴史を知った玉川さんと広沢さんの「皆さんに浪曲を届けたい」という思いから訪問が実現しました。

高齢になった入所されている方々に開演前に話を聞くと「昔は(今の人たちが)歌を聴くように浪曲を聴いていました。生で聴くのは楽しみ」(90代女性)、「小さい頃はよくレコードで聴いていた」(101歳男性)と訪問を心待ちにしていた様子がうかがえました。時間になり、広い園内から入所者職員約70人が来場、拍子木の音とともに二人が登場すると大きな拍手が起こりました。
玉川さんの迫力ある浪曲は三味線の音に乗せて歌うように唸る「節(ふし)」と登場人物になりきって台詞を言う「啖呵(たんか)」で物語を表現して入所者と職員を引き込みます。玉川さんと広沢さんの息の合ったパフォーマンスは同園の皆さんの心を揺さぶりました。職員から「待ってました!」「日本一!」などとかけ声がかかると会場は大いに盛り上がりました。終演後、自治会長(80代男性)は「最高だったよ」と笑顔で会場をあとにしました。
最後に「草津の地に眠る方々にお参りをしたい」と玉川さんと広沢さんは園内にある納骨堂に立ち寄り手を合わせました。

*浪曲は落語、講談とともに「日本三大話芸」の一つ。浪花節とも呼ばれ、80代以上の高齢の方には馴染みが有り、今でも人気があります。
*この事業は外出の機会が少ない高齢者施設で生活する方々をプロの音楽家や俳優、力士らが訪問し、交流してもらう「ゆうゆうビジット」の一環で行っています。