これまでの活動
「誰でも支えられる存在になる」
福岡で自殺予防講座 村木厚子さん語る
元厚生労働事務次官の村木厚子さんを招いた今年度の「自殺予防公開講座」を10月26日、福岡市中央区のレソラホールで開きました。開局40周年を迎えた社会福祉法人福岡いのちの電話との共催。孤立と孤独をテーマにした村木さんの講演に、市民ら約200人が熱心に耳を傾けました。
村木さんといえば、厚労省の局長だった2009年、郵便不正事件で冤罪に巻き込まれて逮捕、164日間拘留された経験をお持ちです。(翌年に無罪確定)。拘置所で見かけた薬物や売春などに関わったとされる若い女性らの姿が忘れられず、退官後の16年、作家の故・瀬戸内寂聴さんらとともに、生きづらさを抱える若い女性を支える若草プロジェクトを立ち上げられ、今も代表呼びかけ人を務められています。
講演では、こうした立ち上げの経緯やコロナ禍以降に若い女性らの自殺が増えたことに触れつつ、プロジェクトが取り組むLINEによる無料相談や「まちなか保健室」の開設、医療費の助成、支援団体や企業との連携など活動の実情を紹介しました。それでも若い女性が自ら相談にたどりつくのは相当ハードルが高いとも指摘し、「安心できる居場所」「味方」「誇り」の必要性を訴えました。
そのうえで、自身に降りかかった冤罪事件の経験を踏まえ、「人は誰でも一夜にして(誰かに)『支えられる存在』になる」と強調。それまで自分は「(誰かを)支える存在」と思っていたのに、突如、「支えられる存在」になった衝撃。その困難を乗り越え、立ち直るために大事だったのは、弁護士らプロの支援、家族・友人らの支えに加え、「娘のために、諦めない姿を見せよう」という自尊心と、心温まる世間のさりげない励ましだった、と話しました。
福岡県内では、福岡いのちの電話(092・741・4343)と北九州いのちの電話(093・653・4343)のボランティア相談員が、年中無休・24時間態勢で、生きづらさを抱えた人たちからの様々な悩みや不安の相談に無料で応じています。また、相談員も募集中です。