~支え合う安心社会の実現に向けて~
朝日新聞厚生文化事業団は「福祉を支える地域づくり」「福祉を担う人づくり」「支援の輪づくり」を軸に社会福祉事業に取り組んでいます。

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最新のお知らせ

認知症マフを作ろう!

朝日新聞厚生文化事業団では認知症の人にやさしい地域づくりの取り組みとして認知症マフの普及活動を行っています。

Twiddle Muffとの出会い

認知症マフは、認知症特有の症状から手元に不安を感じる人が触れたり手を通したりして落ち着けるように、さまざまな飾りを縫い付けた円柱型のニット小物です。イギリスなど海外の高齢者施設や病院でも使われており、英語では「Twiddle Muff(トゥイドルマフ)」と呼ばれています。ボランティアグループや編み物好きの主婦たちが集まっておしゃべりしながら手作りして、地元の高齢者施設や病院などにプレゼントしています。

「認知症の人にやさしいまち」ブラッドフォードでマフのことを知りました

ロンドンから電車で約2時間。イングランド北部の都市ブラッドフォードは、2016年に英国アルツハイマー協会から「認知症の人にやさしいまち」として表彰されました。2016年11月に朝日新聞厚生文化事業団職員が現地を訪問して、実際にまちづくりを牽引しているボランティアグループと面会した時、初めて認知症マフのことを教わりました。

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ブラッドフォードの認知症サポート団体のメンバー(2016年11月)

オックスフォード大学病院でもマフが使われていました

イギリスを代表するオックスフォード大学と連携する病院を訪問すると、師長クラスの看護師さん2人が応対してくれました。2人によると認知症マフは地元の主婦グループが作ってこれまで数千個が病院に届けられたそうです。また、実際に認知症の人にマフを勧めるかどうかは、医師ではなく看護師さんが判断していると話してくれました。

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オックスフォード大学病院に寄せられたマフを見せてくれる看護師(2018年11月)

NGO団体にはたくさんのマフが届いていました

ロンドンに本部を置く「Knit for Peace(ニット・フォー・ピース)」は1970年代に創設され、アフガンやシリアからの難民など、難民キャンプで暮らす人たちに寒さをしのぐセーターやマフラーを贈る活動を続けています。代表のヒラリー・ブルームさん=写真=はこの活動で、イギリス王室から「デイム」という称号(男性の勲位「サー」にあたる)を授与されました。本部の倉庫には寄贈された多数のマフが山積みになっていて、病院や高齢者施設に届けるために準備が進められていました。

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ロンドンのNGO団体に届けられたマフを見せる代表(2018年11月)

朝日新聞厚生文化事業団の取り組み

こうしてイギリスから持ち帰ったTwiddle Muffを元に、私たちの取り組みは始まりました。日本でも認知症の人を支えるみなさまにこのニット小物を知っていただけることを願って「認知症マフ」と名付け、2018年度から普及啓発活動を開始しました。

私たちは、認知症の人に柔らかくて温かなマフの手触りから心地よい時間を過ごしていただくこと、周囲の人々とのコミュニケーションを通じて笑顔になっていただくこと、そして、マフ製作の草の根の活動を通じて人々に新たなつながりが生まれ、認知症になっても安心して暮らし続けられる地域づくりが広がることを目指しています。

これまでの普及啓発活動

2018年

広島県府中町のボランティア・認知症サポートグループだんだんと認知症マフの試作を開始。初めてのワークショップを大阪で開催。

2019年

広島、大阪でワークショップを開催。ニット作家・能勢マユミさんに監修を依頼し、かぎ針編みで編み物初心者にも作りやすい方法をご紹介。

2020年

コロナ禍でワークショップ開催を延期。

2021年

オンラインワークショップを開催。コロナ禍で集会自粛の中、自宅でできる社会貢献活動としても注目を集める。

2022年

大阪、高松(香川県)、浜松(静岡県)、鶴岡(山形県)、東京でワークショップを開催。

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ワークショップで講師を務める能勢マユミさん(2022年12月)

朝日新聞紙面に記事が掲載される。

「認知症マフを知っていますか ニットがつなぐ穏やかな時間と記憶」
朝日新聞デジタル:2022年10月28日更新(有料記事)

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大阪で開催したワークショップの様子(2022年4月)

2023年

大阪、福岡でワークショップ開催。各地のボランティアグループの立ち上げ支援や地域の福祉イベントへの出展に多数協力。

NHK大阪放送局のしあわせニュースで放送される。

2024年

公益財団法人認知症の人と家族の会へ協力を開始。

認知症マフの基礎

製作のポイント

  • 本体は筒の直径15~18cm程度、長さ30~33cm程度に仕立てます。
  • 飾りは外側に6個、内側に4個程度、さまざまな形や触感のものをしっかり縫い付けるのが基本です。
  • 糸が抜けやすいポンポンや音が響く鈴は使う人や場所を選びます。よく検討してください。
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使用のポイント

  • 飾りの取り付けに緩みがないか確認し、使う人によっては不向きな飾りを外す、好まれる飾りを足す、という具合に完成品を現場で最終チェックします。
  • 汚れがひどい時は、洗濯するより新しいものと取り換えることをお勧めします。
  • マフを贈ったら終わりではなく、忘れてしまわないように手元に置いていただけるようなさりげない声がけや、マフを通じて会話やアイコンタクトなど温かいコミュニケーションが取れるような工夫が必要です。マフを使う人の気持ちや尊厳を大切にすることをいつでも忘れないでください。

作り方いろいろ

かぎ針編みで作る方法(動画)

引き抜き編み(指編みまたはかぎ針編み)
監修/ニット作家・能勢マユミ

長編みの表引き上げ編みアレンジ(かぎ針編み)
監修/ニット作家・能勢マユミ

※商用利用は固くお断りします。

メリヤス編み(棒針編み)で作る方法

監修/イギリス・Knit for Peace

細めの糸ならば1段60目、あるいは30センチになる編み目数で編む。超極太糸だったら、1段を48目で編みます。

[初心者へのアドバイス]
編地が約60センチ、または幅の2倍になるまで編み続けます。お薦めはメリヤス編みです。最初の段は表編みにしたら、次裏編みにすると、仕上がりがきれいです。

[上級者へのアドバイス]
これよりも小さくて簡単なものを作るときに使ったやり方やテクニックを、認知症マフで応用してみましょう。

[初心者・上級者共通のアドバイス]
編地の長さがだいたい30センチになったら、編み目を綴じましょう。

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  1. 認知症マフにする編地の表目に飾りをつけます。長さの半分あたりのところに、飾りのないエリアを少し残しておきます。飾りは最低、表に6個、裏に4個付けましょう。

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  2. 編地の真ん中あたりを折ります。両面に飾りが出るように編地を折ったら、折り目以外の開いた3つの辺をそれぞれ縫い合わせます。

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  3. 編み初めと編み終わりの両端を縫い合わせて、筒状にします。この筒は内側と外側の両方に飾りがあり、厚みが倍になっています。

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  4. 完成です。認知症の人に実際に使ってもらいましょう。

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出典:Knit for Peace https://knitforpeace.org.uk/

よくある質問

Q:毛糸はウール100%がいい?
A:ウールの毛糸は何といっても手触りが良いのがメリットです。一方で、アクリルの毛糸はウールより手軽に洗濯できるメリットがあります。それぞれに良さがあります。
Q:細い毛糸でも編める?
A:細い毛糸で編む場合はマフが薄くならないように、内外2重にしてふんわり仕立ててください。何種類かの糸を引き揃えて編むと早くカラフルに編むことができます。
Q:夏は暑いのでは?
A:コットンヤーンで編むとさらりとした手触りになります。マフの内側をサッカーなど通気性のよい生地で仕立てるのもお勧めです。
Q:マフを贈りたいけどどうすれば?

A:「認知症マフです」と言ってプレゼントするより、使う人が気持ちよく受け取れるように愛称(例:にこにこマフ)を付けて贈りましょう。ご家族やお友達に贈るほか、地域で受け入れてもらえる高齢者施設などを探すのもよいかもしれません。

認知症の人といっても1人ひとり症状も好みも異なります。いちどに大量に製作するより、使う人の好みや生活環境をヒアリングして丁寧に進めることをお勧めします。

Q:認知症マフを販売していい?
A:このサイトでご紹介している編み方や編み図、すなわち意匠はニット作家・能勢マユミさんの著作物です。朝日新聞厚生文化事業団では能勢マユミさんに許可をいただき、ボランティア活動をサポートする目的で一般公開しています。商品販売や有料レッスンなど商用目的でのご使用は固くお断りします(個人・団体を問いません)。誤飲事故や金銭授受などのトラブルについて当事業団および能勢マユミさんは一切の責任を負いません。ご質問がある場合はEメールでご連絡ください。

認知症マフを作ろう!へのお問い合わせ

メール:aswo-osaka★asahi.com
※メールは「★」記号を「@」に置き換えて送信ください。
TEL:06-6201-8008(平日10時~18時)