これまでの活動
連続セミナー 障がい児・医療的ケア児の親と就労
第3回 多様性を認め合う風通しのよい社会をめざして
3月9日に開催しました
障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会(以下、親の会)と共催で、3月9日(土)に連続セミナー第3回「障がい児・医療的ケア児の親と就労 多様性を認め合う風通しのよい社会をめざして」を、オンラインで開催しました。
障がい児や医療的ケア児は、成長してもひとりで外出したり、留守番をしたりできるようになるとは限りません。しかし、社会や職域が設ける子育て支援制度は子の年齢で区切られるのが主流で、障がい児や医療的ケア児をもつ親が就労と育児を両立することは、長らく当事者の自助努力とされてきました。
ようやくこの1年、メディアでも障がい児や医療的ケア児をもつ親について取り上げられるようになり、このような親への配慮の視点が盛り込まれた育児介護休業法の改正案が、ついに3月12日(火)、国会審議を通過しました。
社会の潮流が変わろうとしている今この時に、政治や労使の視点から、だれもが暮らしやすい風通しのよい社会のあり方について、衆議院議員で障がい児及び医療的ケア児を育てる親の会顧問でもある野田聖子さん、JR東日本会長の冨田哲郎さん、電機連合中央執行委員長の神保政史さんの3人にお話しいただきました。
トップバッターの野田聖子さんは、現在13歳になる医療的ケアが必要な息子さんの出産から今までの子育てについて、保育園探しに苦労したことや、小学校に入学してからも「高度な医療的ケア」が必要になる度に学校に呼び出される大変さなどを話し、そういった自身の経験や苦労を立法につなげたことを紹介。視聴者や一部会場で参加していた親の会メンバーからの質問にも答えました。高校卒業後に、障がいのある人の居場所が限られる「18歳の壁」についての相談が寄せられると、野田さんは「親亡き後の我が子にどんな社会を残してあげられるか」を念頭に置いて政治活動をしていると話し、医療的ケア児を育てる母の立場を知っているからこその制度、社会の充実を目指していきたいと語りました。
続いて登場したのは冨田哲郎さん。冨田さんが会長を務めるJR東日本で障がい児・医療的ケア児の育児を念頭に置いた、子の年齢で区切らない育児制度を導入した経緯や、「あの人だけずるい」という反対派にどう対処したかなどについてお話しいただいたほか、ご自身が理事を務める特別支援学校の「愛育学園」での学校生活を紹介しました。
最後にお話しいただいたのは神保政史さん。すべての組合員が働きやすいように職場環境を整えることが労働組合の社会的責任と話し、2024年度の春闘では誰もが活躍できる環境の実現をめざし、ジェンダー平等の実現、障がい者の雇用促進と職場環境整備 、仕事と育児・介護との両立支援と、障がい児等をもつ家族など 個別事情に配慮した取り組みなどを交渉内容の一部としていることを紹介しました。
セミナーには約220名の参加があり、当事者だけでなく、職域で労務に携わる方々、障害福祉支援や医療に携わる専門職の方々にも多くご参加いただきました。終了後に寄せられた参加者の感想には、「野田聖子さんの当事者であり、有力政治家であり、リアリストとしての発言が心に届いた」「親亡き後、どういう『社会』を残すのかという言葉に胸があつくなった」「企業や組合の取り組みとして、ここまで工夫できるということがわかった。他の企業にも広がってほしいと思った」「障がい児を育てる親(社員)が特別なのではなく、様々な状況にある人たち誰もが働きやすい環境で、社員同士もお互い様の気持ちを持ちながら仕事をすることで、制度が使いやすくなると感じた」といった声が寄せられました。
アーカイブ
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第3回アーカイブ
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第1回アーカイブ
第2回アーカイブ
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