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連載インタビュー
「障がい」ってなに?もっと身近に、聞いて、感じて、知ってみよう!
第9回 :藤川心花さん
藤川 心花 (ふじかわ みはな)さん
聾学校高等部に在学。趣味は読書、ドラマ・映画鑑賞。障がいについて知ることがその人自身の個性を尊重するきっかけとなり、障がいに関係なく自分らしく生きられる世の中が理想。

目次
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- ふじかわさんは、どんな人?
- 「全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に興味を持ったきっかけ
- コンテストに参加するモチベーション
- 生活の中での「バリア」
- 「バリア」解消のために必要だと思うこと、取り組んでいること
つながるくんコラム
1.ふじかわさんは、どんな人?
- ふじかわさんのこと、教えてください!
-
3歳の夏に、自分が重度の難聴であることがわかり、保育園に加え、聴覚に障がいのある子どもが通う難聴幼児通園施設にも通っていました。小学校からは聾学校に入学し、今に至ります。性格は忘れっぽいところがあるので、メモに書き留めたり、繰り返し練習したりして、忘れないように心がけています。
将来は、特別支援学校の教員になって子どもたちと関わる仕事がしたいです。
2.「全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に興味を持ったきっかけ
- ふじかわさんは、朝日新聞厚生文化事業団と全日本ろうあ連盟が主催する「第40回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」で第1位を受賞されました。このコンテストに興味を持ったきっかけを教えてください。
-
中学部のときに、「少年の主張県大会」に2回出場しました。学校に手話スピーチコンテストのポスターが貼ってあり、それを見て「今度はこれに出てみたい。賞をとりたい」と思い参加を申し込みました。このコンテストを知ってから、Youtube上の過去の優勝者のスピーチ動画を繰り返し見ました。その人は私と同じく特別支援学校の先生になりたいとスピーチしていて、とても身近に感じました。
全国高校生の手話によるスピーチコンテスト会場で。憧れの早瀬久美さんと。早瀬さんは日本で初めての聞こえない薬剤師さんで、3大会連続でデフリンピックに出場、メダルを獲得しているよ
- ふじかわさんはこのコンテストのほかに、作文や夏休みの自由研究などで様々な受賞経験があるんですよね。
-
はい。小学校4年生から、毎年夏休みの自由研究で「耳友(みみとも)新聞」を作成して学校に提出しています。UDトーク開発者の青木秀仁さんにインタビューを行い、UDトークを紹介したり、アンケート形式で自分や聴覚に障がいのある人たち(先輩後輩や友人、先生やつながりのある方など)の声を集計して掲載したりといった内容です。一番最近では昨年の夏に作成し、「聴覚障がい者が自分らしく生きていける未来」というテーマで、自分に合った情報の取り方やコミュニケーション方法を紹介しました。情報を取るのに便利なUDトークや口の動きを読み取りやすい透明マスクといったアイテムを紹介したり、私たちが生活の中で困ることや工夫していること、してもらって心強かったことなどを取り上げたりしています。また、私自身が大学のオープンキャンパスに参加したときの感想も記事にしました。
3.コンテストへ参加するモチベーション
- いくつものコンテストで評価されるのはすごいことですね。参加しようというモチベーションはどこからくるのですか?
-
初めて受賞した「耳友新聞」は夏休みの宿題として取り組んだものなので、賞を意識して作成したわけではありません。小学校4年生以来、「耳友新聞」を毎年作成しており、提出することが習慣になっている、という感じです。
- ほかのコンテスト、コンクールについても、「コンテストがあるから参加しようか」という気持ちで参加しているのですか?
-
そういった気持ちもありますし、コンテストは、不特定多数の人が聞きに来てくれるので、聴覚に障がいのある人が何に困っているかを伝える機会にもなると考えています。そのような機会を多く持つことも意識してコンテストに応募しています。実は、出たいと思っているコンテストはいくつもあるんですよ。
4.生活の中での「バリア」
- 手話のスピーチコンテストでの、「障がいは人と人を隔てる障がいではなく、その人の個性を尊重するきっかけになる」という一文が印象的でした。普段の生活の中で隔たりとなる「バリア」を感じたことはありますか?
-
小学校から聾学校に通い、先生も周りの友達も手話ができる人が多いので、不便さやバリアを感じることはありません。初対面の人と話す場合に、コミュニケーションが難しいと感じる時があります。
聞こえない人同士で話す時は、初対面でも共通の話題があることも多いですが、聞こえる人の場合は、手話のできない人や、聴覚障がいについて知らない人がいるケースもあり、相手が私に対してどう話しかけたら良いのか戸惑っているのかなと感じる時に、こういうシーンが「バリア」かな、と思います。
5.「バリア」解消のために必要だと思うこと、取り組んでいること
- 「バリア」解消のために取り組んでいることはありますか?
-
難聴であることを自分から伝えるように心がけています。耳の聞こえない自分が工夫していることや、困っていることを伝える機会を多く持つように心がけています。読書感想文のコンクールや手話のスピーチコンテストへの参加動機の一部でもありますが、こういった場面では、不特定多数の人が見てくれたり、読んでくれたりするので、文字、スピーチを通して、多くの人に障がいについて知ってもらえるように取り組んでいます。
つながるくんコラム①
聞こえない人との会話に役立つ方法を教えてください
UDトーク
藤川さんが作成した「耳友新聞」でも取り上げたというUDトークは、音声認識と自動翻訳が得意なアプリで、話した内容(音声)がすぐに文字で表示されるよ。聞こえない人とのコミュニケーションを支援するほか、外国語の翻訳も出来るので、海外からの旅行者との意思疎通の際に役立つこともあるよ。

ロジャー
話し手の声を補聴器や人工内耳に直接伝える補聴援助システムだよ。デジタルワイヤレスの技術を利用して、送信機から受信機に音声を送るよ。
字幕メガネ
字幕メガネの本体にUDトークのアプリをインストールすることで、メガネのマイクで音声を拾い、話している人の言葉を音声認識して見ることもできる機器。個人で所有している人や、貸し出しを行う団体を通じてレンタルする人、モニター募集に応募して借りている人などがいるそうだよ。
映画業界が字幕メガネを貸し出す「HELLO!MOVIE」という事業もあるそう。映画上映が始まると音声を認識し、レンズに字幕やせりふ以外の音声の状況説明が映るんだって。全国の映画館で「HELLO!MOVIE」の対応作品に対して貸し出してくれていて、どの作品が字幕に対応しているかや、どこの映画館で字幕メガネを借りられるかは、「映画みにいこ!」のホームページで調べることができるよ。
「映画みにいこ!」
HELLO! MOVIE / UDCast 対応最新作
https://www.bfeiga.net/
字幕メガネ 貸出映画館
https://www.bfeiga.net/jm

透明マスク
口元が透明になっているマスクなら、口の形を読み取って相手の言っていることを理解する際に便利だね。光が反射してしまったり、透明部分が曇ってしまうと、読み取れなくなってしまうよ。
スマホのメモ機能
ふじかわさんは、外出の際、予め「私は難聴です。何か伝えることがあるときは指差しやジェスチャーなどで知らせてください」とお願い事を入力し、必要になったときに相手にみせられるように準備しているんだって。
つながるくんコラム②
手話や筆談で注文するスターバックスコーヒー(東京・国立市)
手話で注文できるスターバックスコーヒー
ふじかわさんは、手話のスピーチコンテストで東京へ来る際、珍しいスターバックスコーヒーに行って来たそう。東京都国立市にある「スターバックスコーヒーnonowa国立店」では聴覚に障がいのある人が中心となってお店を運営しているんだって。手話が出来なくても、筆談や指差し、ジェスチャーでも注文できるそうだよ。ぼくも行ってみようかな。


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