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朝日新聞厚生文化事業団トップページ 最新のお知らせ 連載インタビュー 「障がい」ってなに?もっと身近に、聞いて、感じて、知ってみよう! 第8回 :近藤康子さん

最新のお知らせ

連載インタビュー
「障がい」ってなに?もっと身近に、聞いて、感じて、知ってみよう!
第8回 :近藤康子さん

近藤 康子 (こんどう やすこ)さん
特定非営利活動法人つつじ リバーサイドつつじ(就労継続支援B型)施設長・サービス管理責任者・社会福祉士・精神保健福祉士

東京都足立区生まれ。幼少期からおしゃべりでよく笑う子であった反面、人見知りが強く、頑固な一面も。家で商売をする両親だったため、子どもの頃から食事作りが習慣になり、今でも好んで料理を振舞う。

福祉系の学校を卒業後、福祉施設に就職。知的障がい者入所更生施設を始め、重度知的障がい者入所施設、身体障がい者通所授産施設、特別養護老人ホームや福祉工場、障害者生活介護施設を経て、現在は精神障がいのある人の支援をしている。様々な障がいや年齢の方を支援してきた経験を財産に、現在に至る。

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目次

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1.こんどうさんは、どんな人?

こんどうさんのこと、教えてください!

下町で育ち、家が商売をしていたこともあり、ご近所付き合いが当たり前の環境で育ちました。その中で、初めて障がいのある人のことを意識したのは、小学校に入学してからです。

いつも遊んでいた友達が、一人だけ、当時の特殊学級(現在の特別支援学級)に通うようになったことがきっかけでした。何が違うのかはよくわかりませんでしたが、何かが違うのかな、という漠然としたものだった思います。

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中学に入った頃、知的障がいと心臓疾患のあるいとこが生まれ、「障がい」という言葉を知りました。入退院を繰り返し、叔母は大変だったと思いますが、いつも明るく、そんな叔母の話し相手になりたいと思ったことから、福祉という職業を意識するようになりました。

高校時代に福祉系の学校に進学することを決め、余暇では手話や点字を習ったり、ガイドヘルパーなどのボランティア活動に参加したりして経験を増やしていきました。

2.現在の仕事に出会うまで

現在のお仕事に出会うまでの経緯を教えてください!

当初の希望通り、福祉事業所に就職したあとは、法人内のさまざまな事業所で経験を積みました。勤務する事業所によって、利用者さんの障がいの種別や年齢も多様でした。重複障がいの人を支援したことをきっかけに精神保健福祉士の勉強を始め、資格取得を機に、縁のあった現在の施設に入職しました。

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3.活動の内容

リバーサイドつつじはどのような事業所ですか?

リバーサイドつつじは、中央区で1980年に発足した精神に障がいのある人の家族会が前身です。1990年に精神障がい者共同作業所を開設したときも家族会自らが運営していましたが、2007年にNPO法人つつじが運営を家族会から引継ぎ、現在に至ります。

この様ないきさつから、当事業所は精神に障がいのある人を受け入れる就労継続支援B型事業所で、事業所の運営を支える理事たちも精神障がいの特性を良く知る精神科のドクターや、病院で働くソーシャルワーカー、精神看護が専門の先生、福祉の専門家、家族会といった人たちで構成しています。

職員も社会福祉士や精神保健福祉士、公認心理師などのいずれかの資格を持っているんですよ。

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精神障がいはどのような障がいなのですか?

私は精神障がいのある方と、地域のみなさんの交流の橋渡しをする役割なので、その観点でお話しします。

精神障がいのある人は、障がいの特性などから、独特の「捉え方」をする方がいて、悪い方、ネガティブな意味合いに捉えやすい傾向があるように感じています。そのため、私個人は言葉遣いや言葉の表現を慎重に選ぶようしています。

気分の浮き沈みがある場合も多いので、少しでも安定して通所していただけるよう、コミュニケーションにも気を遣うようにしています。

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4.社会の「バリア」

リバーサイドつつじで働いていて、社会のバリアを感じることはありますか?

「バリアフリー」というと、エレベーターやエスカレーターといった目に見えるものを想像しやすいですが、精神障がいは目に見えない障がいなので、そこが難しいです。

その人に精神障がいがあることを気付いてほしいのか、気付いてほしくないのかも個人によるので、「こう助けてほしい」ということがとても難しいです。

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5.「バリア」解消のために

バリアの解消のために、どのようなことが必要だと思いますか?

公に向かって「こうしてほしい」というのが難しい障がいなので、施設の中で利用者さんが感じている「バリア」に気付いてあげたいと考えています。

コミュニケーションに壁を感じている利用者さんも多いように感じるので、人間関係を構築する手助けができると良いなと思っています。

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人間関係の構築のため、どのようなことをしているのですか?

たとえば、地域に溶け込むため、人に慣れるため、防災訓練やお祭りといった地域の催事に参加していくことを意識しています。地域の防災訓練では、大勢の利用者さんが参加すると、地域の方にとても喜んでいただきます。こういうことを積み重ねていくことを大切にしたいです。

事業所では、私は言葉遣いや表現に気を遣うようにしているといったものの、地域のみなさんには気を遣うのでなく普通に接してほしいと思います。

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もしも地域の方との交流のなかで表情や言葉遣いで不安に思う利用者さんがいれば、私たちのほうで利用者さんの思いを確認、なぜそう思ったのかに耳を傾けながら、最後は「今日は楽しかった、地域の方と交流して良かった」と思ってもらえるよう支援しています。

経験したいと思ってもらう環境をつくり、利用者さんに気づきを得てもらうこと、そして施設職員との振り返りを大切に、これからも地域とともに歩んでいきたいです。

つながるくんコラム

リバーサイドつつじはこんなところ

リバーサイドつつじでは、中央区から受託した牛乳パックの回収や、その計量、自主製作品としてデコパージュのトートバッグを製作しているよ。

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そのほか、企業から依頼のあった作業や事業所の機関紙発行作業などを行っているそうだよ。こんな軽作業をお願いできないかな、というものがあれば、ぜひリバーサイドつつじに問い合わせてみてね。

リバーサイドつつじパンフレット

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