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朝日新聞厚生文化事業団トップページ 最新のお知らせ 連載インタビュー 「障がい」ってなに?もっと身近に、聞いて、感じて、知ってみよう! 第5回 :佐藤栄司さん

最新のお知らせ

連載インタビュー
「障がい」ってなに?もっと身近に、聞いて、感じて、知ってみよう!
第5回 :佐藤栄司さん

佐藤 栄司 (さとう えいじ)さん
障がい者就労継続等支援事業所(就労移行支援)・コンフィデンス日本橋 理事・施設長・サービス管理責任者

東京都荒川区出身。明るく楽しいことが好きな性格。趣味はサッカー、ゲーム、テレビ、音楽鑑賞。介護福祉専門学校を卒業後、のびのび共同作業所青空(通所授産施設)や文京区本郷福祉センター(通所更生施設)での勤務後、平成22年よりコンフィデンス日本橋で勤務。平成28年に施設長に就任。平成28年~中央区自立支援協議会委員、及び中央区自立支援協議会就労支援部会委員に委嘱。令和元年~中央区地域福祉活動計画策定委員に委嘱。

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目次

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1.さとうさんは、どんな人?

さとうさんのこと、教えてください。

勉強が大嫌いな子どもでした。勉強の目的がわからないし、学ぶ内容にも興味が持てなかったのが大きな理由です。

でも、やっていて楽しい体育、ゲーム感覚で取り組める算数、数学の成績は良かったんですよ。

福祉の仕事に興味をもったきっかけを教えてください。

高校生の時、担任の先生に三者面談で成績が良くないことを茶化すようなことを言われ、とても悔しかったことを覚えています。

そこで、資格をとって、それを生かした職業に就こうと決心しました。おじいちゃん子であったこともあり、介護の資格が良いかなと考え、介護福祉士の資格が取れる専門学校に入学したのが福祉の仕事に就く第一歩でした。

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介護の分野では、実習の際に介護施設で働きましたが、しっくり来ませんでした。実習先の施設の雰囲気があまり良くなかったり、実習生に振り分けられる業務に偏りがあったり、といったことも影響したかも知れません。

そこで、自分には介護分野は向いていないのではないかと学校の先生に進路を相談すると、障がいのある人のための事業所を紹介され、再度実習へ。ここでの実習で心が決まり、障がいのある人の支援施設で働くことにしました。

私が現在働くコンフィデンス日本橋に出会うまで、2つの事業所で利用者さんの支援をしてきました。支援に携わってすぐの頃は、単純に利用者さんと接することを楽しんでいましたが、経験を積むうちに自分が理想とする支援や、事業所の在り方を意識するようになっていきました。そんな時に出会ったのが現在の法人で、今までで最も、理想とする支援や利用者さんのニーズ、世間の需要に応えられているのではと考えています。

つながるくんコラム①

コンフィデンス日本橋ってどんなところ?(施設概要編)

日本橋というアクセスの良い立地のためか、利用者さんは中央区外の遠方の人が多いです。また、就職するための研修を行う就労移行事業所ということもあり、介護や見守りが常時必要な利用者さんは少ないです。とはいえ、利用者さんによっていろいろな考え方、気持ちの状態があり、また障がいの特性もさまざまです。

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コンフィデンス日本橋 障害者就労移行支援事業所・障害者就労定着支援事業所
設立 平成21年11月1日
利用者定員 20名
現在の利用者数 21名
職員数 9名
就職実績 106名(設立から現在まで)
年間約8名の方が就職。職場定着率が90%以上。

コンフィデンス日本橋のホームページはこちらから

2.職場での生活サイクル

職場での生活サイクルを教えてください。

1日の流れを説明すると、

6時30分頃 起床
8時50分頃 出勤
9時〜 職員で分担しての消毒作業
担当業務ごとの職員打ち合わせ
朝礼
10時30分〜15時30分 利用者さんの利用時間
この時間帯でさとうさんは2つの講座を担当
・目標設定(1週間の目標をプランニング)
・コミュニケーションスキルアップ講座
(自分に合ったコミュニケーション方法を知る)
17時 終業、退社
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事務作業の様子

帰宅するまでの時間、さとうさんにはさまざまな役割があります。

●施設長として

  • 来客、見学者への対応
    4月、5月には来客や見学者は比較的落ち着いていることが多く、一番問い合わせが多いのは1~3月頃だそう。
  • 利用希望のご本人やその家族、利用者との間を取り持つ第三者機関、自治体の就労支援センターとの連携、外部支援機関との窓口
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●サービス管理責任者として

利用者の管理や支援員のマネジメントを担当。
最近の傾向で言うと、新型コロナウイルス感染拡大防止策が緩和された影響で、近年なかなか実施できなかった職場見学や雇用前提の実習が可能になってきたんだって。

コンフィデンス日本橋では、就職を成功させるにあたっては、対面でのやり取り、安心して就労できるサポートが必要不可欠だと考えているので、活動が増えているのは大変喜ばしい変化だそうだよ。

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3.福祉の仕事についてからの感想、大切にしていること

福祉の仕事についてからの感想、大切にしていることは何ですか?

相手の好きなこと、重きを置いている価値観、大事にしているものを聞き取るようにしています。会話が難しい利用者さんとは、ご本人の表情や声のトーン、またちょっとしたサインなどの非言語コミュニケーションから本人のニーズを探るように意識しており、保護者から聞き取りをして確認をするケースもあります。

利用者さんに、ダンスグループが大好きという方がいました。その方にとってはダンスグループが人生の教科書なっているので、あるトラブルをめぐって私が仲裁に入った際、そのダンスグループのメンバーだったらどう振る舞うかを問うた時がありました。すると、なかなか非を認めたがらなかった利用者さんが、メンバーさんならこう振る舞うだろう、という行動を想像して、自分の取った行動は「イケていなかった」と素直に自分の行動に良くない点があったことを認めてくれたこともありました。

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相談者の対応

また、人それぞれが違う、という個別性も大事にしています。自分が考える「普通」と「そのほか」を比較したり、「〇○しないといけない」という考えからコミュニケーション上の軋轢が生まれると思っています。

そのため、そのような先入観を持たず、その人の個性、スペシャルな部分を大切にするよう心がけています。

たとえば、あいさつが苦手な人がいたら、私との関係ではあいさつも必要ないと思っています。このことは職員にも伝えていて、利用者さんの個性を大事にして、自分らしい支援方法に誇りを持ってもらうように話しています。

4.社会の「バリア」

佐藤さんは企業との窓口も務めていらっしゃいます。企業によって「障がい」の捉え方に幅があると感じることはありますか?

はい。感じる時があります。残念ですが、私たちが求めるのとは違う働き方を求められたり、利用者の特性とは関係なく一律の振る舞いを求める企業があるのは事実です。

私が今まで関わった経験では、多様化ってなんだろう、ということを追求していたり、ひとりひとりの個性に合わせる働き方、その人の強みに合わせた働き方を採り入れたりしている企業は働きやすいようだと感じています。

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一方、「〇〇をしないとだめ」という基準が高いところほど、ダイバーシティの実現に苦労している印象を受けます。

また、障がい者雇用の歴史が長い企業の中には、人に求める基準が高いために、集まる人材が固定化してくる、というケースもあります。この障がいがある人にはこの仕事、と「型に当てはめておしまい」というところもあると聞いています。

働き手に応じた体制を整えたり、仕事に合わせた求人を提供できるかが真のダイバーシティを実現できるかに関わってくると思います。最終的には、私たちのような就労移行支援事業所がなくても就労できるのが理想ですが、それにはまだまだ道のりが遠そうです。

ここでは働きにくそうかな、と思う企業に出会った場合には、どのようにしているのですか?

私たちの理想を全企業に求めることには時間を割かず、理念が合致する企業を増やし、連携を深めるよう意識しています。

また、私たちは就労支援を行う団体同士の横のつながりもあるので、安心して働いてもらえそうな企業の情報を口コミから得たり、国から表彰されているような障がい者雇用に定評のある企業の情報を集めたりしています。

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5.今後、社会に変化をのぞむこと

今後、社会に変化をのぞむことにはどのようなことがありますか?

制度の話になるのですが、就労のための支援を受けられる期間には、法律の定めがあります。

基本的には就労支援サービスの利用期間は2年間ですが、自治体によってはプラス1年を追加した合計3年間のサービス利用ができる場合もあります。この特例を認めていない自治体では、2年以内に就職できなければ、以降は何の支援もないまま関わりが終了してしまいます。

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決まりごとや基本ルールがあること、自治体ごとに考えの違いや資金源に違いがあるのは十分承知していますが、必要な人には必要なサービス、ケースに応じた対応ができるようになってほしいと思います。「いかに例外ケースに柔軟に対応できるか」が、自治体の腕のみせどころではないかと期待しています。

つながるくんコラム②

コンフィデンス日本橋ってどんなところ?(特徴、コンフィデンス日本橋の良いところ編)

コンフィデンス日本橋では、基本的に残業がありません。

余計な業務で職員に負担がかからないよう、記録作業は必要なもののみ、としています。たとえば、後から見返す必要があるもの、しかも、後の業務に生かせる書類だけとしています。「前からあったから」という理由で業務を当たり前にやるのでなく、無駄を捨てる勇気を持つようにしています。ほかの職員の前で忙しそうにしない、ということも意識していますよ。

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支援員の一人としては、利用者の安定した就職をお手伝いするのはもちろん、誰もが希望をもって安心して過ごせる社会も同時に築いていければと思っています。

人それぞれ、違いがあっても良い。楽しいことが好き、支援が楽しいからお手伝いをしている、という考え方で利用者さんをサポートできればと考えています。

事業所に来たばかりの頃は就職が難しいかな、と思うケースでも、利用者さんを変えるのでなく、楽しく過ごすうちにいつの間にか変わっている、という利用者さんも多くいらっしゃいます。

サポートする側、利用する側、コンフィデンス日本橋に興味のある方は、ぜひ私たちまでお気軽にお問合せください。

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