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豆塚エリさん招き福岡で「自殺予防公開講座」開く

車いすの詩人・エッセイストの豆塚エリさん(29)を講師に招いた「自殺予防公開講座」を3月5日に福岡市中央区のレソラホールで開きました。社会福祉法人福岡いのちの電話との共催。ほぼ満員の約190人が来場し、豆塚さんが伝える自身の壮絶な体験と今日に至る気持ちの変化に引き込まれました。

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講演のタイトルは「しにたい気持ちが消えるまで~しにたい気持ちを抱える子供たちへ先輩が伝えたいこと~」。
豆塚さんは貧困家庭に育ち、母親の再婚相手から精神的虐待を受けるなどして、小学校高学年ころから「死にたい」と思い始めました。学業や家庭内で悩みを抱え、「自分はいらない存在」と思うようになった高校2年の冬、授業をサボったことを母親に叱責されたことをきっかけに、「私は死ねばいいんだ! ついにこの日が来た!」と衝動的に自宅アパート3階のベランダから飛び降りました。
一命は取りとめたものの、首の骨が折れ、胸から下が麻痺しました。でも、不思議と「死にたい」とは思わなくなったそうです。懸命に生きようとする体を前に、今までの悩みはすべて些末なことだと感じ、「苦しみから逃れたいから死ぬ」のではなく、「苦しみから逃れるように生き」なければならないと知った、といいます。そして、人を頼ることは甘えではなく、むしろ人に頼って生きていることに無自覚なことが甘えだ、と思うようになったと話しました。

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講演の最後に「しにたい気持ちを抱えている子どもたちへ」として、「大人になると生きやすくなる。居場所も自分で選べるし、お金を稼ぐことができる。どうか大人になるまで生き抜いて」「必要なのは、誰かと共に時間を過ごすこと。好きなこと、くだらないことを一緒にやってみる。猫や犬と過ごすのもいい」「自然の中に身を委ねて」などと語りかけ、来場者に「身近な子どもたちにそう伝えて」と呼びかけました。

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豆塚さんは大分県別府市在住。本格的な講演は今回が初めてといい、「緊張して頭が真っ白になりました」とおっしゃっていましたが、自らのリアルな体験や子どもたちへのメッセージをストレートに語ってくださり、多くの来場者の心に響いたのではないでしょうか。終了後の会場では豆塚さんの自伝的エッセイ「しにたい気持ちが消えるまで」(三栄)など著書の即売・サイン会もあり、行列ができていました。

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